風邪と言えば冬に流行するイメージがあるかと思うのですが、実は夏の時期にも流行る風邪があります。それが「夏風邪」ですね。
実は、夏風邪と冬の風邪は、よく似ているようで全くの別物です。そのため、意外と夏風邪の症状について知らない人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、意外と知らない夏風邪の症状と種類について分かりやすくまとめてみました。
夏風邪が長引く理由や、大人と子供の症状の違いなど、夏風邪の症状で気になる部分を詳しく見ていきましょう。
夏風邪の症状と種類
夏風邪は、冬の風邪と同じくウイルスが原因となって起こる感染症です。
冬の風邪の原因となるウイルスが寒さや乾燥を好むのに対して、夏風邪の原因となるウイルスは夏の高温多湿の環境を好みます。そのため、夏の時期に流行するというわけですね。
夏風邪で起こる症状は、大ざっぱに言ってしまえば以下のようなものになります。
- 高熱
- 喉の痛み
- 咳
- 下痢
- 吐き気、嘔吐
- 目の充血、目やに
- 発疹
夏風邪は、冬の風邪に比べると全体的に症状が重いことが多いです。例えば、微熱より高熱が出る傾向が強く、喉の痛みもひどいことが多いといった具合ですね。
感染したウイルスによって症状は変わってきますが、特に高熱や喉の痛みなどはよく見かける症状と言えるでしょう。
毎年流行する「三大夏風邪」
あなたは「今年の夏風邪は〇〇の症状が強い」といった話を聞いたことがありませんか?
実は夏風邪にはいくつかの種類があり、特に流行するものはその年ごとに変わってきます。毎年流行る症状が変わっていくのはこのためですね。
中でも、特に夏風邪として流行するものを三大夏風邪と言います。「プール熱」「ヘルパンギーナ」「手足口病」の3つですね。
プール熱(咽頭結膜熱)
プール熱は、「アデノウイルス」というウイルスが原因で起こる夏風邪の1つです。名前の通り、保育園や小学校のプールでうつることが多い感染症ですね。
症状は、39度前後の高熱、激しい喉の痛みと腫れ、目の充血やかゆみ、目やになどが特徴的と言えるでしょう。頭痛や体のだるさ、リンパ節の腫れ、下痢などを伴うこともありますね。
ただ、プール熱は症状にムラがあることが多く、その年ごとや人ごとに症状が異なることが多いです。
例えば、高熱が出ない、喉の痛みが出ない、目の充血やかゆみがないなど、イレギュラーな症状が現れるケースが少なくありません。
詳しくは『大人も子供も要注意!プール熱の症状や潜伏期間について!』でお話していますので、プール熱が気になった方はこちらもチェックしておきましょう。
ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナは、「エンテロウイルス」というウイルスが原因で起こる感染症です。夏の6~8月頃を中心に、特に5歳以下の乳児や幼児の間でよく流行する傾向にありますね。
症状としては、39度前後の高熱、喉の痛みと腫れ、口の中の発疹や水疱、口内炎が特徴的です。口や喉が痛いために、食事がうまく食べられないということも少なくありません。
その他の症状としては、高熱による体の痛みや頭痛、体のだるさ、胃腸炎による下痢、嘔吐、腹痛などが現れる場合もあります。
普通の風邪と比べると、高熱や喉の痛みが強いところが大きく違う部分と言えるでしょう。
ヘルパンギーナの詳しい症状については『ヘルパンギーナの3つの症状と治療について!子供が感染した場合は?』を参考にしてくださいね。
手足口病
手足口病は、ヘルパンギーナと同じ「エンテロウイルス」が原因で起こる感染症の1つです。その名の通り、手足や口の中にブツブツとした発疹や水疱が出てくる病気で、主に5歳以下の子供に発症する夏風邪ですね。
他の夏風邪に比べると、流行する年とあまりしない年がはっきりと分かれており、数年おきに流行することが多いのが特徴です。
手足口病の主な症状は、手足や口の中の発疹・水疱、喉の痛みと口内炎、発熱ですね。口だけでなく手足にも発疹が出るのが、最も特徴的な症状と言えるでしょう。
なお、発熱は3人に1人ほどの割合でしか起こらないので、熱が出ないケースも多いです。発疹の出来る範囲や数も人によるので、必ずしも目立ったブツブツが現れるとは限りません。
その他の症状としては、喉の痛みや口内炎による食欲不振、発疹や水疱が出た場所のかゆみ、下痢、嘔吐などが現れる場合もありますよ。
手足口病については。『手足口病の3つの症状とは?子供の初期症状や薬、治療について!』で詳しくご紹介していますので、合わせて読んでおくと良いでしょう。
夏風邪の症状は治療期間が長引くことが多い?
あなたも「夏風邪の症状は長引くことが多い」という話を、どこかで見たことがあるのではないでしょうか?
実際、夏風邪は冬の風邪に比べると治療期間が長引く傾向にあり、冬の風邪のように2~3日で治るということがあまりありません。
このように夏風邪が長引く理由は、主に以下の2つですね。
- 原因になるウイルスが冬風邪と違う
- 夏バテで免疫力が低下しやすい
原因になるウイルスが冬風邪と違う
夏風邪は、冬の風邪とは原因となるウイルスが根本的に違います。
先ほどもお話した通り、夏風邪のウイルスは「アデノウイルス」や「エンテロウイルス」といった、冬の風邪ではあまり聞きなれないウイルスです。
これら夏風邪のウイルスは、冬風邪のウイルスと比べて体の中に残っている期間が長い傾向にあります。つまり、治療期間も冬風邪より長引く傾向にあるというわけですね。
実際、冬風邪は2~3日で治ることほとんどですが、夏風邪は完治までに1週間前後かかるケースが多いです。
夏バテで免疫力が低下しやすい
夏の時期は、エアコンによる室内と室外の気温差が大きくなりがちで、体温調節の機能がうまく働かなくなることが少なくありません。
簡単に言えば自律神経が乱れている状態で、いわゆる「夏バテ」という状態ですね。
夏バテになると、体力が落ちる、疲れが出やすくなる、食欲が落ちるなどの症状が現れるとともに、免疫力が低下してしまいます。
免疫力が低下した状態で夏風邪を発症すると、なかなか治らないのは想像がつきますよね。つまり、夏風邪が長引いてしまうというわけです。
夏風邪の症状は大人と子供で違いがある?
まず、大人は子供に比べると元々の免疫力が高いため、基本的に夏風邪にはかかりにくいと考えて良いでしょう。
感染したとしても症状自体は現れないケースがほとんどで、仮に症状が出たとしても軽い症状で済むことが多いですね。
ただ、大人が夏バテや疲れ、ストレスなどにより免疫力が落ちて完全に夏風邪を発症した場合は、子供に比べて症状がひどくなりやすい傾向にあります。
特にヘルパンギーナでは、口の中や喉の痛みがひどく現れるケースが多いので、注意が必要と言えるでしょう。
詳しくは『大人のヘルパンギーナの症状について!妊婦が感染した際の影響は?』で詳しくお話していますので、こちらも合わせて読んでおくことをおすすめします。
夏風邪を予防する方法は?
夏風邪は一度感染しても、繰り返し感染する可能性のある感染症です。繰り返し夏風邪に感染しないためにも、以下の4つの予防対策を行うようにしましょう。
- 手洗い・うがいをこまめに行う
- ウイルスに接触しないようにする
- 夏バテしないようにする
- 疲れやストレスを溜めないようにする
手洗い・うがいをこまめに行う
冬風邪がくしゃみや咳で感染することが多いのに対して、夏風邪は直接ウイルスに触ることで感染することが多い感染症です。
つまり、夏風邪予防に一番効果的なのは、こまめな手洗い・うがいです。人と会った後や帰宅後、食事前などに、その都度手洗い・うがいを行うようにしましょう。
ウイルスに接触しないようにする
当然と言えば当然ですが、そもそもウイルスに接触しなければ夏風邪に感染することはありません。
夏風邪に感染している人との接触や、ウイルスと接触しやすい人込みを避けるだけでも、かなりの予防効果が期待出来ます。
ただ、現実的には少し厳しい予防策なので、手洗い・うがいと合わせて出来る範囲で意識しておくと良いでしょう。
夏バテしないようにする
先ほども少しお話した通り、夏バテしてしまうと免疫力が低下して、夏風邪を発症しやすくなってしまいます。
仮に夏風邪のウイルスに感染したとしても、免疫力や体力が十分であれば、症状を軽く済ませることが出来ますので、夏バテしないよう対策をしておきましょう。
エアコンは室内外で5度以上の温度差が出ないようにする、食事で栄養をしっかりと摂る、水分を十分に補給するといった、基本的な対策が効果的ですよ。
疲れやストレスを溜めないようにする
夏バテと同じで、疲れやストレスなども免疫力低下の原因になります。特に大人は、仕事や人間関係などでストレスを溜め込みやすいので注意が必要ですね。
疲れやストレスを溜めないように、睡眠時間を十分にとる、適度な運動をする、ストレスを発散するといった対策を行うようにしましょう。
まとめ
夏風邪は、普通の風邪と比べて症状が重い上に、治療期間が長い、治りにくいというのが特徴です。
夏の時期ということもあり、夏バテなどで免疫力も低下しやすいので、あらかじめ予防対策をしっかりと行うようにしていきましょう。
「最近体がだるいな…」という人は、既に夏バテになっている可能性がありますので、特に注意しておいてくださいね。
もし夏風邪に感染してしまったという場合には、以下の記事を読んで出来るだけ早く治すようにしていきましょう。
→『夏風邪の治し方!咳や喉の痛み、高熱を早く治す方法はある?』