あなたは今、お腹の左側、特に左下が痛くなって困ってはいませんか?特に痛みの症状がひどい場合には、「これって放置して大丈夫なの…?」と心配になりますよね。
実は、お腹の左下の痛みがひどい場合は、症状などからある程度原因を判別することが出来ます。
中には厄介な病気もありますので、まずはお腹の左下に痛みが出る原因を把握しておく必要があると言えるでしょう。
そこで今回は、医療職の目線からお腹の左下が痛い場合に疑っておきたい7つの原因をご紹介したいと思います。
病院でもよく見る左下腹部の痛みの原因2つと、少し珍しいものの誰にでも起こる可能性のある左下腹部の痛みの原因5つについてまとめてみました。
よく見られる左下腹部の痛み
1.便秘
急にお腹の左下に痛みが出てきた場合、真っ先に考えられるのが便秘ですね。
腸の左下は元々便が溜まりやすい形になっているため、普段から便秘がちな人は左下腹部に痛みが出ることが多いです。
ただ、便秘とはいえ、ガスが溜まるとひどい痛みが出ることも少なくありません。冷汗が出るほどひどい痛みで病院を受診したら、便秘でガスが溜まっているだけだったというのは、病院ではよくある話です。
もしあなたが普段から便秘が多い、ここ最近便秘気味と言う場合には、まず便秘による左下腹部痛を疑ってみてください。
お腹の痛み自体は、詰まっている便やガスが出てしまえば解決することが多いです。ただ、元々便秘気味なのであれば、便秘を根本的に解決しなければ繰り返す可能性は高いでしょう。
2.過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)
左下腹部の痛みに合わせて、下痢や便秘が頻繁に起こる場合に多いのが、「過敏性腸症候群」という病気です。
過敏性腸症候群というのは、簡単に言えばストレスによって起こる慢性的な下痢や便秘の症状のことですね。普段から緊張で下痢が出たり、便秘がちでコロコロとしたうさぎの糞のような便が出ることが多い場合には、この病気の可能性があります。
その他の特徴としては、ガスが溜まりやすい、朝に症状が現れやすいが昼には回復する、他に目立った症状はない、リラックスしている時には症状が出ないといったことが挙げられますね。
生真面目な人やストレスを溜め込みやすい20~30代の社会人に多く、慢性の便秘や下痢の大半は過敏性腸症候群によるものと考えられています。
ここまでの内容で思い当たる点が多い場合には、過敏性腸症候群の可能性は高いと言えるでしょう。
過敏性腸症候群は、ストレスが原因で自律神経が乱れて腸が過敏になっている状態ですので、ストレスを減らす、ストレスを解消する、早寝早起きなどの規則正しい生活リズムを作るといった対処法が効果的になります。
病気による左下腹部の痛み
3.急性腸炎
急性腸炎というのは、何かしらの原因で腸に炎症を起こす病気の総称です。病院では、原因がはっきりしない急に起こる下痢や腹痛を急性腸炎と呼ぶことが多いですね。
簡単に言ってしまえば、急に下痢や腹痛を起こすものの病名がついていない病気を、まとめて急性腸炎と呼んでいると考えておけば良いでしょう。
急性腸炎は、お腹の風邪やアルコールの飲みすぎ、お腹の冷えなどによる体調不良、細菌やウイルスの感染などが原因となって発症します。
原因が幅広いため、「これが急性腸炎!」と言い切るのは少し難しいのですが、急に下痢や腹痛が出た場合には急性腸炎の可能性があると言えるでしょう。
症状の程度は、ごく軽い症状から重症のものまで様々ですね。軽い下痢と腹痛が1日以内に治まる場合もあれば、ひどい下痢や吐き気、嘔吐、高熱、体のだるさなどが3日以上続く場合もあります。
急性腸炎では原因次第で治療法や対処法が変わってきますので、自己判断は危険です。特に症状が重い場合には、一度病院を受診するようにしてください。
4.潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)
潰瘍性大腸炎というのは、大腸の内側にえぐれた穴のような傷(潰瘍)が出来てしまう病気です。
よく「胃に穴があく」と言われますが、それと似たようなことが大腸で起こる病気ですね。イメージ的には、口内炎のひどいものを想像してもらえると良いでしょう。
症状としては、腹痛が出たり、ゼリー状の粘液が便に混じるのが特徴です。下痢が出る、便に血が混じるといったことも少なくありません。症状がひどくなると、発熱や関節の痛み、体重低下、貧血などが現れることもありますね。
症状の出方はさまざまで、急に激しい症状が出るケース、発症から何か月も症状が続くケース、良くなったり悪くなったりを繰り返すケースなどが見られます。
上に書いたような症状、特に腹痛とねばねばとした血便がある場合には、潰瘍性大腸炎を疑うようにしましょう。
原因がはっきりしていない病気ですが、治療後の経過は良い方が多いので、まずは病院を受診してみるようにしてくださいね。
5.虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)
虚血性大腸炎というのは、大腸に行くはずの血管が何かしらの理由で詰まってしまう病気です。簡単に言えば、脳梗塞や心筋梗塞が大腸で起こっている状態と言えるでしょう。
ただ、大腸には脳や心臓と違って血管が豊富にあるので、1か所が詰まったからといって命に関わるようなことはありません。大抵は適切な治療を行えば完治する病気です。
症状としては、突然の激しい腹痛、下痢、下血(真っ赤な血が便と一緒に出てくる)が特徴的ですね。
「左下腹部が急に痛くなってトイレに駆け込んだら、血の混じった便が出た」というケースが多いです。
血管が詰まって起こる病気ということもあり、動脈硬化や不整脈の多い高齢者がかかりやすい病気と言えるでしょう。便秘で血管が圧迫されるというケースも多いので、便秘がひどい人は特に注意が必要ですね。
虚血性大腸炎は、早めに治療を受ければ問題なく完治することの多い病気です。症状も急な腹痛や下血といった分かりやすいものなので、このような症状があればすぐに病院を受診するようにしてくださいね。
6.大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)
憩室(けいしつ)というのは、大腸の壁の一部が外側に膨らんで、風船のような小部屋になった状態です。専門的には「大腸憩室症」と呼ばれる状態で、便秘などで起こりやすいと考えられています。
そして、大腸憩室炎というのは、その大腸憩室症で出来た憩室に、便が詰まったりして炎症を起こしてしまう病気ですね。
症状としては、急な下腹部痛と下痢、お腹を押した時の圧痛などが一般的です。圧痛は痛みのある部位を押した時に出る痛みで、左下の腹痛であれば「左下を押すと痛い」といった感じですね。
急な腹痛の後にも繰り返し腹痛を起こすのが特徴で、時間が経つと発熱や血の混じった便が出てくるようになります。
便秘が原因で憩室が出来ることが多いので、普段から便秘がちな人で上に書いたような症状がある場合には、大腸憩室炎を疑うようにしてください。
大腸憩室炎は治療を受ければ良くなる病気ですが、放置して症状が悪化した場合、腸を貫通するほどの穴が開いてしまう場合もありますので、早めに病院を受診するようにしましょう。
7.左尿管結石
尿管結石というのは、腎臓で出来た石が腎臓と膀胱をつなぐ尿管という部分に入って詰まってしまう病気です。
尿管は腎臓と同じで右左にそれぞれ1本ずつあり、そのうちの左側が詰まった場合に左わき腹や左下腹部の痛みが現れることがあります。
尿管結石の特徴は、なんといっても想像を絶する痛みですね。色々な病気の中でも屈指の痛みが出る病気として知られており、立っていられないほどの激痛が出ることも少なくありません。
石の大きさや詰まり方などで痛みの程度は変わってきますが、ひどい時には「大人が悶絶して救急車を呼ぶレベルの激痛」になることもあります。
症状としては、下腹部やわき腹、腰、背中などに起こる突然の激痛と血尿が特徴的ですね。その他にも、尿をする時に痛みが出る、吐き気や嘔吐の症状が出るといったことも多いです。
もし左下腹部の激痛に加えて、尿に血が混じる、尿をする時に痛みが出るという場合には、尿管結石を疑うようにしましょう。
まとめ
左下腹部に痛みが出た時に疑われる7つの原因をご紹介してきましたが、いかがでしたか?
最後にもう一度、原因になりやすい病気をまとめておくと、以下の通りですね。
■よく見られる左下腹部の痛み
- 便秘
- 過敏性腸症候群
■病気による左下腹部の痛み
- 急性腸炎
- 潰瘍性大腸炎
- 虚血性大腸炎
- 大腸憩室炎
- 左尿管結石
特に多いのが便秘と過敏性腸症候群ですね。特に便秘は思い当たる方が多いと思いますので、普段から便秘気味でお腹が張ることも多い場合には注意をしておきましょう。
また、病気による左下腹部の痛みは急な腹痛や他の症状を伴うことが多いので、今回お伝えしたような症状が出てきた場合には、早めに病院を受診するようにしてくださいね。
その他、急な腹痛に対する基本的な対処法については、『お腹が痛い時に役立つ対処法5つ!食事や寝方はどうする?』で詳しくご紹介していますので、合わせてチェックしておきましょう。