咳が続く時、咳止めシロップにお世話になる方も多いのではないでしょうか。
ただ、咳止めシロップは飲みやすいこともあり、用法・用量をうっかり守りそびれてしまうということがありませんか?実はこれ、依存症にもなりかねないとても危険な行為なんです!
咳止めシロップには、アルコールやタバコなどと同じ中毒性があります。一般的にはあまり知られていないので、知らず知らずのうちに中毒者になってしまうという方も…。
今回は、そんな咳止めシロップの依存性や注意点、対処法などについて詳しくお話していきます。
これから咳止めシロップを飲む方も、既に一気飲みをしてしまう中毒者の方も、一度目を通しておきましょう。
咳止めシロップの依存性について
この記事を読んでいる方のほとんどは、「咳止めシロップに依存性がある」という話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
結論から言うと、これは事実です。というのも、咳止めシロップには大抵の場合、医療用の麻薬である「コデイン」が含まれているためですね。
コデインには、「咳を出せ!」という指令を送る「咳中枢」を麻痺させる働きがあります。
これが咳を止めるのにとても有効なので、大抵の咳止めシロップにはコデインが含まれているというわけですね。
麻薬と聞くと、なんとなく怖いものを想像してしまいがちですが、コデインはあくまで医療用の麻薬です。咳止めシロップに配合されている量もさほど多くはありません。
ただ、医療用とはいえ麻薬ですので、使いすぎると中毒症状が出てしまうことがあります。いわゆる「薬物依存症」の状態ですね。
咳止めシロップの依存症状
咳止めシロップの依存症になると、咳止めシロップの効果が切れるたびにイライラや不安感といった症状が現れるようになります。
ひどくなると混乱したような状態になり、幻覚やけいれんといった症状を起こすことも…。
簡単に言えば、咳止めシロップをやめようと思ってもやめられない状態になります。いわゆる薬物依存のような症状が現れるというイメージで良いでしょう。
咳止めシロップは普通に飲むだけで依存症になる?
ここが気になっているという方が多いと思うのですが、基本的に「咳止めシロップを普通に使うだけで依存症になる」ということはほとんどありません。
時々、「咳止めシロップを子供に与えると危ないんじゃないか?」といったご質問を患者さんから受けることがあるのですが、12歳以上であれば特に心配しなくても大丈夫ですよ。
そもそも咳止めシロップは、年齢制限や用法・用量を守って使っていれば、それほど副作用のひどくない薬です。
含まれているコデインの量から考えても、説明書に書かれている範囲での利用であれば、特に問題ないと言えるでしょう。
ただ、長期的に咳止めシロップを飲み続けた場合は、用法・用量を守っていても依存症になる可能性があります。
咳止めシロップはあくまで「咳を止めるために使う薬」です。予防のために飲んだり、薬を使っても止まらない咳に使い続けるのは避けるようにしてください。
咳止めシロップに依存しないための注意点
咳止めシロップに依存しないためには、いくつか注意をしておかなければいけない点があります。
具体的には、以下の3つの注意点を押さえておきましょう。
- 効かないからといって量を増やさない
- 自己判断で2~3週間以上続けて服用しない
- 飲むのがクセになりそうな場合は服用をやめる
効かないからといって量を増やさない
病院でも、「薬が効きにくいから量を増やした」と言ってくる患者さんが意外と多いのですが、これはとても危険な行為なので絶対にやめてください。
薬というのは、決められた用法・用量で使うからこそ薬なんです。使いすぎると毒になってしまうこともありますので、必ず説明書や医師の指示にしたがって使うようにしてくださいね。
自己判断で2~3週間以上続けて服用しない
咳止めシロップは、咳がひどい時に飲むことを考えて作られた薬です。
長期間の使用を考えて作られたものではないので、咳が治らないからと、いつまでも続けて服用しないように注意してください。
目安としては、2~3週間ほどですね。これ以上咳が続く場合は病気の可能性もありますので、一度病院で検査を受けておいた方が良いでしょう。
飲むのがクセになりそうな場合は服用をやめる
中には、「咳止めシロップを飲むと気分がいい」「体の調子が良くなる」という方もいるかと思いますが、そういった場合には服用をやめておきましょう。
少し分かりにくいですが、これは薬物依存になる前触れとも言える症状です。使い続けていると徐々にやめられなくなってしまう可能性があります。
特に、咳もないのに咳止めシロップを飲みたくなるという場合は注意が必要ですね。依存症を起こしている可能性がありますので、すぐに服用を中止してください。
もし咳止めシロップの依存症になってしまったら?
もし、あなたが既に咳止めシロップの依存症にかかっている時は、迷わず「精神科」のある病院を受診するようにしてください。
というのも、薬物依存症は1人で治すのがとても難しい病気だからですね。アルコール依存症やタバコの依存症が簡単には治らないのと同じと考えて良いでしょう。
1人で依存症を治そうと頑張っている方もいるかと思うのですが、これはかなり難しいと考えておいてください。
簡単にはやめられないから依存症なんです。よほど強い精神力がなければ、1人で依存症から脱出することは出来ません。
意外と知られていませんが、精神科は薬物依存症の治療においてはプロフェッショナルです。
あなたの話をよく聞き、あなたと向き合って治療をしてくれますから、まずは一度相談に行ってみましょう。
まとめ
今回は、咳止めシロップの依存性についてお話しました。最後に、もう一度内容をおさらいしておきましょう。
- 咳止めシロップをむやみに使うと依存症になる可能性あり
- 用法・用量の範囲であれば依存症のリスクはほとんどない
- 用法・用量を守り、2~3週間以上続けて使わないことが大切
- 咳止めシロップがクセになってきたらすぐ服用をやめる
- 依存症になってしまったら「精神科」のある病院へ
咳止めシロップには依存性がありますが、普通に使う範囲で依存症を起こすことはまれです。
用法・用量を守って服用すること、2~3週間以上続けて使わないことに注意しておけば、基本的には依存症にかかることはありません。
ただ、中には依存症になりやすい体質の方もいますので、クセになりそうであればやめることを心掛けてください。
もう既に依存症になっている場合には、1人で治すのは難しいので「精神科」を受診するようにしましょう。病院を選ぶ場合には、依存症の治療実績のある病院がベストですよ。
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