「体のだるさや軽い喉の痛みの初期症状があると思っていたら突然の高熱!」
「だんだん喉の痛みもひどくなってきた…」
もしあなたにこんな症状があるのであれば、「ヘルパンギーナ」という夏風邪に感染している可能性があります。(夏風邪と言っても冬に感染することもあります)
ただ、ヘルパンギーナは子供に多い病気ですので、意外と大人のヘルパンギーナに関する情報はネット上では見つからないのが現状です。
そこで今回は、大人のヘルパンギーナについて僕の知っている知識を分かりやすくお伝えしたいと思います。
子供と比べてどんな症状なのか?仕事はいつから出勤していいのか?妊婦が感染した場合の赤ちゃんへの影響は?といった大人ならではの疑問を詳しく見ていきましょう。
大人がヘルパンギーナに感染する原因
ヘルパンギーナという病気は、感染者の90%以上が子供ということもあって、子供が感染する病気として知られています。
ただ、あくまでウイルスに対して免疫の出来ていない子供の間で流行りやすいというだけで、大人にも感染する可能性はあるので注意しておきましょう。
そもそも大人がヘルパンギーナにかかりにくいのは、子供の頃に感染して既に免疫を持っているためです。
しかし、ヘルパンギーナのウイルスには複数の型が存在するため、大人でも全てのウイルスに対して免疫を持っている可能性は低く、感染する可能性は十分にあります。
大人の場合だと、主にヘルパンギーナの子供を看病した際に感染することが多いのも特徴ですね。
感染から発症までの潜伏期間は2~7日なので、ヘルパンギーナの子供に近づいて2~7日以内に症状が現れたのであれば、ヘルパンギーナの可能性は高いと言えるでしょう。
ヘルパンギーナの潜伏期間や感染期間、感染経路のお話については、以下の記事で詳しく説明していますので合わせてご覧ください。
→『ヘルパンギーナの潜伏期間やうつる期間は?お風呂でも感染する?』
大人のヘルパンギーナの症状
まず大人のヘルパンギーナは、初期症状として以下のような症状が現れます。
- 微熱(37~38度)
- 体のだるさ
- 軽い喉の痛み
正直なところ、初期症状の段階では普通の風邪とほとんど見分けがつきません。
ただ、もし事前に子供がヘルパンギーナにかかっていた場合は、「もしかしてヘルパンギーナかな?」と考えておいた方が良いでしょう。
そして、本格的な症状が現れ始めると、以下のような症状になります。
- 高熱(38~40度)
- 喉や上顎の水疱(白いブツブツした発疹)
- 唇裏や口腔内に多数の口内炎
- 激しい喉の痛みと口の中の痛み
その他、腹痛や下痢などの胃腸症状、高熱による頭痛や関節痛などが現れる場合もありますが、メインとなるのは上に書いた4つの症状ですね。
症状が軽いとあまり熱が出ない場合もありますが、水疱や口内炎は初期症状から数日以内に現れることが多いです。
また、夏風邪というカテゴリーではあるものの、咳や鼻水はあまり出ないのが一般的ですね。
そして、大人のヘルパンギーナの中でも最も辛い症状といえば、喉の痛みと口の中の痛みです。
痛みの程度はもちろん人にもよりますが、「今までの人生で一番ひどい喉の痛み」という風に言われる方も少なくありません。
しかも厄介なことに、大人の場合は喉の痛みや口の中の痛みが長期間続くことが多いのも特徴です。
高熱の続く期間が子供と同じ2~4日ほどなのに対して、喉や口の中の痛みは1~2週間続くこともあり、正直その辛さは「地獄」と言っても差し支えのないレベルになります。
実際の体験談でも、「喉が痛いというより喉を何かで刺されているような感覚」「食べ物が喉を通過するのが怖い」と言われる方もいましたから、それなりの覚悟をしておいた方が良いでしょう。
大人のヘルパンギーナはいつまで続く?
子供のヘルパンギーナは2~4日ほどで改善するのが一般的ですが、大人の場合は症状がひどいことも多く、治療期間が長引く傾向にあります。
上でもお伝えした通り、高熱は2~4日ほどで治まるのですが、口や喉の痛みは1~2週間続くことも少なくありません。
そのため、完治するまでにかかる期間としては、1~2週間を目安に考えておきましょう。
もちろん症状が軽い場合は治療期間が短くなりますし、症状が重い場合には長くなりますので、その点は考慮しておいてくださいね。
大人のヘルパンギーナの治療法と対処法
ヘルパンギーナには効果的な薬がありませんので、治療法は自宅で安静にするのが基本になります。
ただ、治るまでの期間は高熱や痛みで辛いことも多いので、熱がひどくて辛い場合には解熱剤、口や喉の痛みがひどい場合には鎮痛剤を使うなど、必要に応じて薬を使うようにしましょう。
また、食事については喉を通らないということも少なくありません。口内炎や喉の水疱に染みることが多いので、酸味のある食べ物や辛味のある食べ物などは避けるようにしましょう。
刺激が少なく喉を通りやすい、おかゆやスープ、ゼリー、アイスクリームなどがおすすめです。体力を落とさないためにも、辛いとは思いますが最低限の食事はしておきましょう。
また、喉の痛みで水分補給を避けてしまうことも多いので、脱水症状にも注意が必要です。
特に、下痢の症状が出ている場合は脱水状態になりやすいので、こまめに水分補給を行うようにしましょう。
おすすめの飲み物は、ミネラルや糖分を合わせて摂ることの出来る「経口補水液」です。
他の病気で高熱や嘔吐・下痢をした時にも使うことができますので、あらかじめストックしておくのがおすすめですよ。
仕事はいつから出勤していいの?
ヘルパンギーナはインフルエンザなどと違い、会社への届け出や出勤停止の義務などはありません。
そのため、熱が下がって症状が落ち着いた段階で仕事に出勤することが可能です。病院を受診している場合には、医師に出勤のタイミングを相談してみるのも良いでしょう。
ただ、ヘルパンギーナは感染力が強くうつる病気ですので、会社の就業規則や規約によって出席停止期間が定められている場合があります。
そのため、会社側にはあらかじめヘルパンギーナに感染したことを伝えておき、対応を相談しておくのがおすすめです。
また、仕事に出勤した際には他の人にうつさないよう、マスクの着用とこまめな手洗い・うがいを徹底してください。
咳やくしゃみからは1~2週間、便からは最大で約1ヶ月間ウイルスが排出されていますので、その間は感染予防を行うようにしてくださいね。
ヘルパンギーナの妊婦への影響は?
妊婦の方がヘルパンギーナに感染した場合、やはり気になるのはお腹の赤ちゃんへの影響ですよね。
「妊娠中にヘルパンギーナに感染して不安…」という方も多いかと思いますが、通常であれば妊娠中にヘルパンギーナに感染したとしても、胎児に影響することはほとんどありません。
これは、ヘルパンギーナのウイルスが胎盤を通過出来ないためですね。
母親が感染したとしても、胎盤の先にいる赤ちゃんにまで感染することは滅多にありませんので安心しておきましょう。
ただ、妊娠後期の臨月、特に出産間近にヘルパンギーナに感染した場合は、出産時にウイルスに感染する可能性があります。
新生児がヘルパンギーナのウイルスに感染したとしても症状は軽いことがほとんどですが、まれに重症化することもありますので、感染しないように注意しておきましょう。
ヘルパンギーナのウイルスは発症から最大で1ヶ月間体内に残っているので、出産予定日の1ヶ月以上前の感染であれば、さほど心配する必要はありません。
なお、妊婦の場合は使える薬と使えない薬がありますので、ヘルパンギーナで病院を受診する際には、必ず妊娠中であることを伝えるようにしてくださいね。
まとめ
大人のヘルパンギーナは症状がひどいことも多く、口の中や喉が痛い場合には唾を飲み込むことすら辛いこともあります。
仕事があってなかなか休めないという方もいるかもしれませんが、早く治すためにも発熱や喉の症状が治まるまではゆっくりと休んでおいた方が良いでしょう。
また、もしも発熱に加えて頭痛と嘔吐の症状が合わせて起こった場合には、「髄膜炎」という病気を合併している可能性があります。
髄膜炎になると重症化する危険がありますので、頭痛や吐き気・嘔吐といった症状がある場合には、以下の記事も合わせて確認するようにしてくださいね。