熱中症で倒れる大人の男性

 

「熱中症になってしまったらどんな風に対処すればいいの?」
「症状が軽い場合、病院はどうするのが正解?」

 

熱中症は対処を間違えると命を落とす危険もある病気ですから、いざ熱中症になってしまった時には、応急処置や対処が的確に出来るかどうかが重要になります。

そこでこの記事では、熱中症になったらどんな対処をすれば良いのかを詳しくまとめてみました。

熱中症になった時の基本的な応急処置の方法や症状別の対処法、熱中症になったその後の注意点など、すぐに実践できる対処法についてお話していきたいと思います。


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熱中症になった時の基本的な応急処置の方法

応急処置用の水とタオル

 

熱中症は、炎天下での作業や運動、熱のこもった室内にいる時などに起こりやすい病気です。

そのため、暑い環境下で気分が悪くなってきた、めまいや立ちくらみがする、頭痛や吐き気が出てきたといった場合には熱中症を疑うようにしてください。

 

熱中症の症状がよく分からないという場合は、以下の記事で分かりやすくお話していますのでチェックしておきましょう。

『【熱中症の症状】初期症状は頭痛や吐き気、下痢に注意?』

 

熱中症のような症状が確認できた場合は、すぐに応急処置を行っていくことが大切になります。具体的には、以下のような手順で応急処置を行うようにしましょう。

  1. 日陰などの涼しい場所に移動する
  2. 衣服をゆるめる、あるいは脱ぐ
  3. 仰向けに寝て足は頭より高い位置にする
  4. その場にあるもので体を冷やす
  5. 水分補給が出来る場合はスポーツドリンクや経口補水液を飲む
  6. 誰かいる場合は手足から体の中心に向けてマッサージをしてもらう

 

ここからは、それぞれの手順について詳しくお話したいと思います。

 

1.日陰などの涼しい場所に移動する

屋外であれば建物や木陰、屋内であればクーラーのある場所や風通しの良い場所に移動しましょう。

熱中症というのは体温調節が追いつかなくなって体に熱がこもっている状態なので、まずは体温が余計に上がらない環境に移動することが大切になります。

 

2.衣服をゆるめる、あるいは脱ぐ

出来る限り衣服を脱いで、少しでも熱がこもらないようにしましょう。ネクタイやベルトなどは全てゆるめ、出来るだけ熱が逃げやすい状況を作るのがベストです。男性であれば、上半身は全部脱いでしまっても問題ありません。

また、屋内の人目につかない場所であれば、服やズボンは全部脱いでしまう方が良いでしょう。衣服やタオルを1枚上からかける程度の状態の方が熱を冷ましやすいです。

 

3.仰向けに寝て足は頭より高い位置にする

安静にしている間は、足の下にカバンやタオルなどを置き、頭よりも多少高い位置に足がくるようにしましょう。

熱中症は頭の血流不足が原因で起こる症状が多いため、足を上げて血流を良くすることでめまいや立ちくらみ、軽い失神などの症状を抑えることが出来ます。

 

また、基本的には仰向けで寝るのですが、吐き気や嘔吐がある場合には嘔吐物が喉に詰まる可能性があるので危険です。

吐き気や嘔吐がある場合には、仰向けの状態から頭がしっかりと横を向くように姿勢を変えてあげましょう。

 

4.その場にあるもので体を冷やす

体にこもった熱を早く逃がすために、うちわなどで体を扇いだり、濡れたタオルで頭や体を冷やすようにしましょう。

手元にアイスノンや保冷剤などがある場合には、熱が出ている時と同じように頭や首を冷やすと良いですね。

 

また、体の熱がひどい場合には首裏と脇の下、太ももの付け根の3ヶ所を同時に冷やすのも効果的です。

「3点クーリング」と言って、医療現場でもよく使う高熱の下げ方ですので、明らかに体が熱い場合などには3点クーリングの方がおすすめですよ。

 

5.水分補給が出来る場合はスポーツドリンクや経口補水液を飲む

意識がしっかりとしていて水分補給が出来る場合は、スポーツドリンクや経口補水液OS-1といった塩分が含まれている飲み物を飲むようにしましょう。

その場にスポーツドリンクなどがない場合は、自作の飲み物でも問題ありません。作り方は水500mlと砂糖20g、塩1.5gを混ぜるだけですので、緊急時は手作りしましょう。

 

また、明らかに様子がおかしい場合や意識に障害が出ている場合、吐き気がひどい場合は水分を摂ろうとしてもうまく飲めないことがあり危険です。

このような場合には水分補給を行わず、すぐに救急車を呼ぶようにしてください。

 

6.誰かいる場合は手足から体の中心に向けてマッサージをしてもらう

手足から体の中心に向けてマッサージをすることで、足から心臓に帰る血流を少しでも早めることが出来ます。

特にふくらはぎと太もも裏の筋肉は血流に影響しやすい部分なので、ふくらはぎから太ももの付け根に向けてマッサージをしてあげると良いでしょう。


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熱中症の症状別対処法

 

熱中症になった子供を応急処置する親

 

熱中症には、その症状の出方によって4つのタイプが存在しています。

基本的な応急処置は上に書いた通りで問題ありませんが、もしも4つのどのタイプの症状か判別が出来る場合には、以下の対処を特に重点的に行うと良いでしょう。

 

熱失神(めまい、立ちくらみ、大量の汗、一時的な失神)

熱失神の症状というのは、簡単に言ってしまえば「発汗で体を冷やすために血液がフル稼働した結果、脳に行く血流が不足して起こる症状」になります。

ですから汗が大量に出てきますし、脳の血液が不足してしまうことでめまいや立ちくらみといった症状が現れるというわけですね。

 

つまり、このような症状が出ている場合には、体にこもった熱と脳の血流不足の2つを解消するのが効果的です。

足を頭より高く上げる、体の熱を冷ますという2つの対処を特に重点的に行うと良いでしょう。

 

熱けいれん(こむら返り、筋肉痛、手足のけいれん)

熱けいれんというのは、汗を大量にかいた後に塩分を補給しなかった場合に起こる症状です。

塩分には筋肉の動きを調節する働きがあるので、体の中の塩分が不足することで手足がつる、筋肉痛が出る、手足がけいれんするといった筋肉のトラブルが起こるわけですね。

 

つまり、対処法としては塩分の補給が効果的です。他の症状と比較すると塩分がより不足している状態と言えますので、スポーツドリンクよりも塩分の多い経口補水液OS-1などが好ましいでしょう。

経口補水液OS-1がない場合には、1リットルの水に9gの食塩を入れて飲めば大丈夫です。食事が食べられるのであれば、水分と合わせて梅干しや塩飴を食べるのも良いでしょう。

 

熱疲労(体のだるさ、頭痛、吐き気、嘔吐、38度前後の発熱)

熱疲労というのは、体の水分が足りなくなって脱水症状を引き起こしている状態です。熱失神の段階から症状が進んだ状態と考えておいて良いでしょう。

つまり、熱疲労によって出てくる体のだるさや頭痛、吐き気などの症状は、全て脱水が元となっているわけですね。

 

対策としては、熱失神で行う足を頭より高くする、体を冷やすといった対応に加えて、水分補給を特に重点的に行うと良いでしょう。

水分補給の際は、同時に塩分も摂れるスポーツドリンクや経口補水液OS-1などを飲むようにしてください。

 

熱射病(40度前後の高熱、汗が出ない、反応がない、様子がおかしい)

熱射病は、脱水などの原因により体温調節がうまく行えなくなり、脳にまで影響が出ている状態です。

熱中症の分類の中でも最も重い症状で、放っておくと命の危険もありますので、まずはすぐに救急車(119番)を呼ぶようにしてください。

 

対処法としては、とにかく救急車が来るまで体を冷やしておくことが大切になります。

基本的な応急処置に加えて、出来るだけ冷たいもので首裏、脇の下、太ももの付け根の3点を冷やし、少しでも体温を下げるようにしてください。

 

熱射病になると意識障害により水分補給を行うことが出来ませんので、病院で点滴を受けるまで症状が回復することはありません。

時間との勝負になりますので、とにかく素早い対処を心掛けましょう。

 

熱中症になったら病院はどうする?

熱中症と病院

 

熱中症で症状がひどい場合に病院に行かない方はほとんどいないと思いますが、軽い症状の場合には「これって病院に行くべきなの?」と迷う方もいるのではないでしょうか。

結論から言うと、どんなに軽い症状であったとしても、症状が治まらない場合には病院を受診しておいた方が無難です。

 

というのも、熱中症は後になって症状が悪化するケースがあるんですよね。少し落ち着いたからと油断していると、熱中症の症状が悪化したということも少なくありません。

ですので、少しでも気持ち悪さが残っている、軽い頭痛や吐き気が続く、めまいや立ちくらみが残っているという場合には、必ず病院を受診するようにしましょう。

 

病院では点滴や体を冷やす治療も行ってくれますし、血液検査や尿検査といった熱中症の影響をチェックするための検査も行ってくれますので、重症化のリスクを避けることが出来ますよ。

大人であれば「内科」、子供であれば「小児科」、夜間や病院がお休みの場合には「救急外来」を受診すると良いでしょう。

 

また、高熱や頭痛、嘔吐といった症状がひどい場合や、意識に障害が出てきている状況の場合には、迷わず救急車を呼んでください。

このような症状の場合は救急車を呼ぶことが推奨されていますので、悪いとか迷惑といったことを気にする必要は全くありません。

 

症状が悪化してしまうと、意識を失ったり動けなくなってしまうこともありますので、そうなる前に対処をするようにしましょう。


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熱中症になった後の注意点

医師からの注意点

 

熱中症になった日の食事はどうする?

吐き気や嘔吐がある時は無理に食べる必要はありません。ポカリスエットや経口補水液OS-1で水分補給を行いつつ様子を見てください。

もし食べられない期間が1日以上続く場合には、病院を受診して点滴を行ってもらいましょう。吐き気や嘔吐が落ち着いて少し食欲が戻ってきたら食事を食べても大丈夫です。

 

ただ、熱中症で吐き気や嘔吐が出た後というのは、胃腸自体がかなり弱っている状態ですので、胃を慣らすためにも消化に良いものを少量から始めるようにしてください。

おすすめは薄めのおかゆから再開することですね。食べられるのであれば、梅干しなどを入れると良いでしょう。

 

体調が治ってからは、再発を防ぐためにも熱中症対策の食事も取り入れると良いですね。

『【食事で熱中症対策】おすすめの食べ物ランキング!』

 

熱中症になった日はお風呂に入っていいの?

お風呂は汗をかいて水分を奪われますし、体力も奪われますので基本的にはNGです。熱中症になった直後に入ってしまうと、症状が悪化する危険性もありますので注意しましょう。

 

お風呂を再開するタイミングとしては、熱中症になった翌日以降で症状が完全に落ち着いてからがベストです。

回復するまでは無理をせず、軽いシャワーや体を拭く程度にしておきましょう。

 

軽い熱中症だったけど次の日も症状が続く場合は?

少しでも症状が残っている場合は、無理をせず体調が良くなるまで休んでおいた方が良いでしょう。

仕事や学校が気になる方もいるとは思いますが、下手に動くと体調が悪くなる可能性がありますので、無理な通勤や通学は避けてください。

 

熱中症は、一時的とはいえ脳や胃腸などにも機能障害を引き起こす病気ですので、体には相応のダメージが残っていると考えた方が良いです。

簡単に言えば体が弱っている状態になるので、軽い熱中症であっても1~2日は様子を見ておくようにしましょう。

 

もし既に病院を受診しているのであれば、医師と相談して決めるのが確実です。

 

熱中症の症状が続く場合に薬は使って良い?

熱中症による発熱や頭痛が続くと、ついつい解熱鎮痛剤に手が伸びてしまいますが、薬を使うのは止めておきましょう。

薬が症状を抑えると、熱中症の症状が悪化した場合に気付くのが遅れてしまいますし、そもそも薬を服用しても根本的な解決にはなりません。

 

熱中症による発熱や頭痛といった症状は、あくまで脱水症状がきっかけとなって起こっていますので、水分や塩分を補給しながら回復するまで待つのが近道です。

もしどうしても我慢できないような場合には、薬を使うより病院を受診した方が確実でしょう。熱中症以外の原因がないかも調べてくれますし、適切な対処も行ってもらえますよ。

 

まとめ

熱中症になってしまった場合、まずは適切な応急処置が大切になります。

熱中症になった後でも、今回お伝えしたような対処方法を行うことで症状の悪化を防ぐことが出来ますので、ぜひ参考までに覚えておいてください。

 

特に、赤ちゃんや幼児、高齢者には自覚症状があまりないことも多く、症状が急に悪化することもありますので、早めに熱中症の症状に気付いて対処することがとても重要です。

熱中症の症状については以下の記事で詳しく説明していますので、今回の対策記事と合わせて参考にして頂ければと思います。

『【熱中症の症状】初期症状は頭痛や吐き気、下痢に注意?』