「暑い時期だからかお腹がゆるいし体もだるい」
「特に思い当たることがないけど下痢や腹痛が続いて治らない」
こんな症状がある場合、もしかするとそれは「熱中症」による下痢や腹痛の可能性があります。
めまいや頭痛、嘔吐のような分かりやすい症状であれば熱中症に気づく人でも、まさか下痢や腹痛が熱中症で起こるとは夢にも思わない方が多いのではないでしょうか?
今回は、そんな熱中症による下痢や腹痛の原因と対処法についてお話していきたいと思います。
ネットで調べると、一般的な熱中症の症状には出てこないことの多い下痢と腹痛ですが、実は意外と多い症状ですのでチェックしておきましょう。
熱中症で起こる下痢や腹痛の原因は?
熱中症による下痢や腹痛は、「水分補給はしているけど塩分などのミネラルを補給していない」というケースで多い症状です。
つまり、体内の水分と塩分のバランスが崩れた状態が下痢を引き起こす原因というわけですね。
と言っても、分かりにくいと思いますので順を追って説明しましょう。
熱中症が起こる原因の第一歩は、大抵の場合、汗が大量に出ることによる脱水症状です。
水分不足が脱水症状を引き起こすというのはあなたもご存じかと思います。ただ、水だけを飲んでいても汗と一緒に出ていった塩分を補うことは出来ません。
しかも、塩分をとらずに水分だけを補給した場合、体液中の塩分の濃度はさらに水で薄められてしまいますよね。
人は体液の塩分バランスが崩れると、体の様々な機能に影響が出てしまいますから、体にとってこれは一大事!
結果として、体は薄められた体液を元の塩分濃度に戻すため、水分をさらに体外に出してしまいます。
そしてこの時、水分を体外に出すために起こる症状というのが、下痢とそれに伴う腹痛というわけですね。
しかもこの状態を繰り返していくと、どんどん体の水分は失われてしまいますから、結局は脱水症状を起こしてしまいます。
つまり、熱中症による下痢や腹痛は、塩分を摂らずに水分だけを摂るという間違った熱中症対策によって引き起こされる症状と言えるでしょう。
なお、脱水症状になると血液がドロドロになり全身の血流も悪くなるので、胃腸などの消化器官の働きも弱くなり、余計に下痢をしやすくなってしまいます。
暑い夏の時期に、食事の後で毎回下痢になるような場合は、熱中症による下痢を疑った方が良いでしょう。
熱中症による下痢や腹痛の症状の特徴
熱中症による下痢や腹痛では、この2つの症状以外にも熱中症の他の症状も一緒に見られるのが特徴です。
喉の渇きやめまい、立ちくらみ、頭痛、吐き気、体のだるさ、意識のぼんやり感などがあれば、熱中症が原因である可能性は高いと言えるでしょう。
また、急に症状がひどくなるのではなく、じわじわと熱中症になる過程で下痢や腹痛が出るということもあります。
病院に来た患者さんで、実際にあった事例を見てみましょう。患者さんは50代の女性の方です。
患者:ここ数日気分が悪いことが多くて…お腹が痛いと思っていたらひどい下痢が出たんです。何日経っても治らないので何か病気かと思って来たんですけど…。
医者:それは大変でしたね。何か食あたりしそうなものは食べましたか?もしくは他に気になる症状がありませんか?
患者:食あたりは特に思い当たらないですね…そういえば最近立ちくらみが特にひどいんです。最近暑いじゃないですか?あれでどうにも寝付けないことが多いからそのせいかと思っていたんですが…
医者:それは熱中症の可能性がありますね~。最近寝起きの汗がひどかったり、体が妙にだるいといったことはありませんか?
患者:そう言われてみれば…寝起きの汗はひどいですね。体もだるいんですけどもう年かと思って…
熱中症というと、炎天下の中運動や作業をしている時に起こるものと思いがちですが、実はこの事例のように時間をかけて徐々に熱中症になることもあるんですね。
室内が暑いにも関わらず、クーラーも扇風機もつけていないという時に多い症状ですので、思い当たる節がある方は似たような症状が出ていないかチェックしてみましょう。
なお、熱中症の症状については以下の記事で具体的にお話していますので、自分が熱中症なのか気になる方は、判断材料の1つとして確認しておくことをおすすめします。
熱中症による下痢や腹痛の治し方は?
大前提として、炎天下の中で急に熱中症の症状が出た場合には、まず以下の記事で書いている応急処置を優先して行ってください。
→『熱中症になったら病院はどうする?症状が軽い場合の対処方法は?』
熱中症による下痢や腹痛は、上でもお話した通り水分と塩分のバランスが崩れていることが原因です。
そのため、対処法としては水分だけを飲むのではなく、塩分も合わせて摂るようにしましょう。
具体的には、水分と塩分を一緒に摂れる「経口補水液OS-1」がおすすめです。
効果は少し劣りますが「ポカリスエット」や「アクエリアス」といったスポーツドリンクでも大丈夫ですよ。
ただ、がぶ飲みすると弱った腸では吸収しきれず下痢の原因になってしまいますので、飲む際には以下の2点に注意するようにしましょう。
- 食事以外でもこまめに飲む
- 一気に飲むのではなくゆっくりと口で転がすように飲む
また、熱中症で下痢が続く時は脱水症状が悪化しやすいので、飲み物だけでなく食べ物でも塩分を補給するようにしましょう。
例えば、塩飴や梅干しなどは塩分を摂りやすく食べやすいのでおすすめですよ。
熱中症に良い食べ物については、以下の記事でまとめてご紹介していますので参考にしてください。
室内の温度にも要注意
熱中症による下痢や腹痛は上でもお話した通り、普段から暑い部屋にいる人に起こりやすい症状でもあります。
特に、「扇風機やエアコンは体に悪いから…」と我慢している人に多いのが特徴ですね。
確かに冷房などに頼りすぎるのも良くないのですが、それで熱中症になってしまっては元も子もありませんので、部屋が暑いと感じたら扇風機やクーラーで室温を下げるようにしてください。
夜間の寝ている間にも汗をかくので、暑くて寝苦しい人や寝汗がひどい人は、軽めにでも冷房を使っておいた方が良いでしょう。
下痢止めの薬は極力使わない
熱中症で下痢が起こるのは、上でもお伝えした通り体液の塩分濃度を調整するためです。
下痢止めをむやみに飲んでしまうと、このような体の働きを妨げてしまう可能性がありますので、正露丸などの市販の下痢止め薬は極力使わないようにしましょう。
自宅にいる場合はすぐトイレに行けますし、水分補給も出来ますので、むやみに下痢を止める必要はありません。
トイレのない場所に行く時や下痢があまりにひどい時など、どうしても下痢を止める必要がある場合にのみ服用するようにしましょう。
熱中症の下痢や腹痛が治らない場合の対処法は?
熱中症の下痢や腹痛は、通常であれば水分と塩分を補給して安静にしておけば徐々に回復していきます。
ただ、「それでも下痢がなかなか治らない…」という場合には、何かしら腸に負担をかけている可能性がありますね。
- 水分補給の際に一気飲みしてしまっている
- 冷えた飲み物や食べ物を摂りすぎている
- 消化に悪いものを食べている
- 栄養が偏っている
このような食生活になっていないかをチェックして、思い当たることがあれば改善するようにしましょう。
また、もしここまでの対策を全て行っても下痢が続く場合には、実は熱中症ではなく他の病気が原因という可能性もあります。
胃腸炎や内臓疾患などが考えられますので、一度病院で検査を受けてみると良いでしょう。
腸内環境が悪いという場合も
元々熱中症になる前から下痢や便秘が多いという人は、腸内環境自体が悪化しているという可能性も考えられます。
いわゆる善玉菌が減って悪玉菌が増殖しているという状態で、下痢や便秘を引き起こす原因として知っている方も多いのではないでしょうか?
また、腸内環境が悪化していると免疫力が低下することも分かっています。あなたは熱中症に限らず「ちょっとしたことで体調が悪くなりやすい…」と感じることがありませんか?
もし思い当たる節があるのであれば、腸内環境を整えていくことで色々な問題が解決する可能性もありますよ。
バランスの良い食事と合わせて、手軽に摂れる腸内環境を整えるサプリメントなどを使うことで腸内環境を良くしていきましょう。
→【モニターの87%がその効果を実感!】下痢対策サプリ『黒梅日和』
まとめ
今回お伝えしたように、熱中症による下痢や腹痛は、体内で水分と塩分のバランスが崩れているために起こります。
水分と塩分を合わせて補給できる「経口補水液OS-1」などをこまめにゆっくりと飲むことで、徐々に治していきましょう。
参考:『熱中症対策に良い飲み物まとめ!医学的におすすめの飲料5選』
また、食事は栄養のバランスに注意しつつ、消化に良いものから始めるようにしてください。下痢が止まらない場合には腸内環境を整えていくことも大切です。
ただ、このような対策を行っても治らない場合は他の病気の可能性もありますので、一度病院で診てもらうようにしてくださいね。