「とびひになったんだけど原因が分からない…」
「子供がとびひを繰り返すんだけど、何が原因なの…?」
とびひについては何となく知っているという人でも、とびひの原因と言われると意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は、そんなとびひに感染する原因について詳しくまとめてみました。
とびひに感染するきっかけや原因菌、感染しやすい人、大人と子供で違う点などを、分かりやすくお伝えできればと思います。
とびひの原因と原因菌は?
とびひは、あせもや湿疹、虫刺され、ケガによる小さな傷口などから細菌が入ることで起こる感染症の1つです。
簡単に言ってしまえば、傷口からばい菌が入って感染する病気というイメージを持っておけば良いでしょう。
ただ、他の感染症と比べると、原因となる細菌が少し特殊なことが特徴ですね。いわゆる「常在菌」と呼ばれる、鼻の中や皮膚にもよく存在する細菌が原因となっています。
つまり、他の人にうつされなくても、傷口さえあれば感染・発症する可能性があるというわけですね。
とびひの原因となる細菌は、主に「黄色ブドウ球菌」と「溶血性連鎖球菌」の2種類です。
黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)
黄色ブドウ球菌は、健康な人なら誰でも持っている代表的な細菌です。鼻の中や喉、皮膚の表面などに住んでいる常在菌の1つですね。
常在菌と言うだけあって、普段は特に害になるような菌ではありません。
しかし、湿疹や虫刺されなどがかゆいからと引っ掻いてしまうと、その傷口から黄色ブドウ球菌が入り込んでしまいます。
傷口に入り込んだ黄色ブドウ球菌は、その傷口で繁殖していきます。この時に毒素をまき散らすことで、とびひが起こるというわけですね。
なお、黄色ブドウ球菌が原因となるとびひのことを、専門的には「水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)」といいます。夏の時期に0~6歳くらいの子供に多いのが特徴ですね。
一般的にとびひと呼ばれるものは、ほとんどがこの黄色ブドウ球菌が原因となって起こるとびひと考えて良いでしょう。
溶血性連鎖球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)
溶血性連鎖球菌も黄色ブドウ球菌と同じで、健康な人の鼻の中や喉に住んでいる常在菌です。
一般的には「溶連菌(ようれんきん)」と呼ばれている細菌ですね。名前くらいは聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか。
この溶連菌もとびひの原因になります。ただ、黄色ブドウ球菌によるとびひと比べると、溶連菌によるとびひは日本では発症数が少ない傾向にありますね。
また、年齢を問わず発症する傾向もあり、夏や冬などの季節に関係なく発症しやすいのも特徴と言えるでしょう。
なお、溶連菌が原因となるとびひは「痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)」と呼ばれています。一般的な水ぶくれ症状が出るとびひと違い、大きなかさぶたが出来るタイプのとびひですね。
とびひにかかりやすい人の特徴
とびひは、原因菌に触れた手で皮膚を引っ掻いた時によく起こる感染症です。つまり、皮膚を引っ掻いてしまいがちな人ほどかかりやすい傾向にあると言えますね。
例えば、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚の病気がある人は、とびひになりやすいと考えておきましょう。
乾燥肌やアトピー性皮膚炎の人は、元々皮膚のバリア機能が弱っている状態ですし、かゆみを我慢することが難しいことも多いですからね。
また、乾燥肌やアトピーの人ほどではないものの、普段から鼻をよく触ってしまう子供もとびひに感染しやすいと言えます。
上でもお伝えした通り、とびひの原因菌は鼻の中に多く存在しています。つまり、「よく鼻を触る=常に手や指に原因菌が付着している」という風に考えておいた方が良いでしょう。
鼻を触っているうちに鼻に傷が出来て、そこからとびひに感染することもあります。乾燥肌やアトピーなどの病気がないのにとびひを繰り返すという場合には注意してみると良いですね。
あとは、当然と言えば当然ですが、普段からあせもや虫刺されなどを掻きむしってしまいがちな人も注意が必要です。
「掻きむしる=傷が増える、細菌が傷口に触れる機会が増える」ということですので、どうしてもとびひに感染する確率は高くなってしまいますからね。
特に子供の場合は、無意識に引っ掻いてしまうことが多いので、親がよく見てあげる必要があると言えるでしょう。
- 乾燥肌やアトピー性皮膚炎などの皮膚の病気がある人
- 普段から鼻をよく触ってしまう人
- 肌を掻きむしってしまいがちな人
子供がとびひに感染しやすい3つの理由
一般的に、とびひは子供が感染する病気と考えられていますよね。ただ、実際には大人も感染する病気ですし、高齢者の方がとびひになることも珍しいことではありません。
ですが、それでも子供がとびひに感染しやすいのには理由があります。具体的には、以下の3つの理由ですね。
- 皮膚が薄くバリア機能が弱い
- 無意識に肌を引っ掻いてしまう(自制がきかない)
- 汗っかきであせもが出来やすい
1.皮膚が薄くバリア機能が弱い
子供は大人に比べると、皮膚がまだ十分に成長していません。「赤ちゃん肌」という言葉もあるように、健康な大人であれば誰もが持っている皮膚のバリア機能がまだ弱い状態です。
そのため、少し引っ掻いただけでも傷が出来やすいですし、原因菌が簡単に侵入出来てしまうというわけですね。
2.無意識に肌を引っ掻いてしまう(自制がきかない)
親なら経験のある方も多いと思うのですが、子供は無意識にガリガリと肌を引っ掻いてしまいます。これは、大人に比べて自制がきかないためですね。
大人であれば、引っ掻いた後のことを考えて自制することも出来るのですが、子供は自制なんて言葉は知りません。かゆいならかゆいだけ肌を引っ掻いてしまいます。
結果として、肌は常に細かな傷が出来ている状態になりますから、とびひに感染しやすくなるというわけです。
3.汗っかきであせもが出来やすい
子供のうちは大人に比べると汗かきなものです。今はあまり汗をかかないという人でも、子供の頃は滝のように汗をかいていたという人も少なくはないのではないでしょうか。
汗かきなこと自体は悪いことではありませんが、夏場に困るのが「あせも」です。あせもはかゆみが出ることも多く、子供だとどうしても引っ掻いてしまいがちですからね。
このように、かゆみを引き起こす原因が出来やすいことも、子供がとびひを発症しやすい原因となっています。実際、子供はあせもからとびひになることが少なくありませんからね。
大人はストレスや疲れが原因になる場合も
大人は子供に比べて皮膚もしっかりとしていますし、むやみに肌を引っ掻くこともさほどありません。免疫力も高いので、とびひが感染することも少ないと言えるでしょう。
しかし、肌トラブルに加えて免疫力が落ちるようなことがあれば、とびひを発症してしまう可能性は高くなります。
特に、とびひを発症しやすくなる条件が整うのが、ストレスや疲れがたまっている時ですね。特に女性であれば、一度はストレスや疲れで肌荒れがひどくなった経験があるのではないでしょうか。
ストレスや疲れがたまると、皮膚のバリア機能や体の免疫力が落ちてしまいます。つまり、細菌に感染しやすい環境が整ってしまいますから、とびひにも感染しやすくなってしまうというわけですね。
また、大人の中でも妊婦の方は注意が必要です。妊娠中は免疫力が低下している状態ですので、とびひに感染しやすくなってしまいます。
同様に、高齢者の方も注意が必要ですね。高齢者は若い頃に比べると、皮膚が薄くなって乾燥もしているため、皮膚のバリア機能が低下している状態と考えておきましょう。
まとめ
とびひの原因菌は、「黄色ブドウ球菌」や「溶連菌」といった人の鼻の中や皮膚にも存在している常在菌です。
虫刺されやあせもなどがある肌を引っ掻くことで感染しますから、出来るだけかゆいところをかかないことが大切になりますね。
子供の場合は、とびひを100%防ぐということは難しいですが、出来るだけ掻きむしらないような工夫をしてあげると良いでしょう。
大人の場合は、免疫力の低下や肌のバリア機能の低下が感染の原因になりますから、普段から余計なストレスや疲れをためこまないように注意しておくと良いですね。
また、とびひは条件が揃っていると繰り返しやすいのも特徴です。再発を避けるためにも、一度病院で検査と診断を受けて、しっかりと治療を行った方が良いでしょう。