子供に蕁麻疹が突然出たら、親としてはとても心配ですよね。
特に赤ちゃんや幼児などは無意識に掻きむしってしまったり大泣きしたりと、見ているだけで心が痛む思いです。
また、すぐに治まればまだ安心も出来ますが、なかなか治らない場合は「いつまで続くの?」と不安になってしまいますよね。
そこで今回は、子供の蕁麻疹が出る原因と対処法、治療法などについて詳しくまとめてみました。
子供に蕁麻疹が出ている時の注意点や、治らない場合にどうすれば良いのかなど、親として知っておきたいことを詳しくお伝えします。
子供の蕁麻疹とは?
蕁麻疹は見ても分かる通り、皮膚にかゆみや赤い腫れが出る皮膚疾患で、気温が激しく変化する季節の変わり目や梅雨などの高温多湿な環境、体調を崩した時などに現れやすい病気です。
一般的には、症状が出ても1日以内に赤みやかゆみが治まるケースが多いとされていますね。
その症状の特徴は主に以下の3つです。
- 突然現れるがしばらく経つと元に戻る
- 赤い腫れをともなう(ポツポツしたものから大きなものまで)
- 掻きむしりたくなるような強いかゆみをともなう
ただ例外として、よく見られる赤い膨らみのあるものではなく、まるでミミズ腫れのような蕁麻疹が現れることもありますね。
このミミズ腫れのようなタイプの場合は明確な腫れが現れるとは限らず、引っ搔いた後のような赤い筋だけが現れることもあります。
子供の蕁麻疹は、大人と比べてその多くが比較的短期間で治る「急性蕁麻疹」で、残りは1ヶ月以上慢性的に続く「慢性蕁麻疹」です。
子供の頃というのは大人に比べて蕁麻疹が発症しやすいのですが、その分数時間~数日もあれば落ち着くといったことが多いイメージですね。
子供の蕁麻疹の原因は?
子供に起こる蕁麻疹は、その多くが原因不明と診断されており、これを「特発性蕁麻疹」といいます。
そもそも蕁麻疹が起こるメカニズムは、何かしらの原因で皮膚が刺激され、皮膚内の肥満細胞という場所からヒスタミンという物質が放出されることがきっかけとなっています。
このヒスタミンが皮膚の毛細血管を広げたり、皮膚の感覚神経を刺激することで、赤みやかゆみを引き起こすという流れですね。
このように話をすると、「じゃあちょっとしたことで皮膚が刺激されて蕁麻疹が起こるの?」と思ってしまいますが、実はそういうわけではありません。
実際には、多少の刺激で蕁麻疹が出るわけではなく、例えば金属アレルギーなど特定の刺激に体が過剰に反応してしまうことで蕁麻疹が引き起こされます。
ただ、子供の場合はまだ様々なものに対する免疫力や抵抗力が弱く、ちょっとした虫刺されやダニ・カビなどのハウスダスト、季節の変わり目などの温度変化、大人だと気づかないようなストレスでも刺激となって蕁麻疹が起こることがあります。
そのため原因不明なケースが多いですし、同時に原因がさほど難しいものではないため数日で治るということも多いですね。
では、具体的にどんなものが蕁麻疹を引き起こす刺激になるのかというと、例えば以下のようなものです。
- 特定の食べ物を食べる
- 特定の薬を飲む
- 植物や昆虫に触れる、刺される
- 皮膚に物理的・機械的な刺激が加わる
- 気温や体温の変化
- 日光を浴びる
- 自分自身の汗
- ストレスを感じる
- 肉体的・精神的疲労
食べ物や薬、植物、昆虫などによる蕁麻疹
食べ物はいわゆる食物アレルギーのことで、一般的によく耳にするのは卵アレルギー、小麦アレルギー、そばアレルギー、かにアレルギー、えびアレルギーなどかと思います。
実際にはそれ以外にも、例えばマグロやサバなどの青魚、香辛料、食品添加物などでも発症する可能性があります。
薬については、特定の薬を飲んだ時に引き起こされる薬のアレルギーで、これを専門的には「薬疹」と呼びます。
抗生物質や風邪薬、解熱鎮痛剤、咳止めなど、多くの処方薬や市販薬に含まれている非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が主な原因として起こるとされていますね。
このように薬の中の特定の成分に反応するアレルギーで、比較的重症化しやすいとされています。
植物や昆虫については、例えば植物が皮膚に触れたり、花粉が皮膚に付着したり、虫に刺されたりすることで起こるアレルギーです。
最も有名なのはハチに刺された時などに起こるもので、アナフィラキシーの前触れのような形で蕁麻疹が出ることがあります。
他にも、ハウスダストを吸うことでダニやカビを吸い込んでしまい、蕁麻疹を引き起こすこともありますね。
ちなみに、このような様々なアレルギーで起こる蕁麻疹のことを、まとめて「アレルギー性蕁麻疹」といいます。
物理的・機械的刺激、気温や体温の変化、日光による蕁麻疹
物理的な刺激は、例えば着ている衣服による皮膚への摩擦やバッグなどを持っている部分への圧迫、マッサージの機械などによる振動刺激のようなものです。
皮膚への直接的な刺激がきっかけで発症するものなので、比較的納得しやすい原因と言えますね。
気温や体温の変化というのは、急に寒くなったり熱くなったりという温度変化による蕁麻疹のことで、これは専門的に「寒冷蕁麻疹」、「温熱蕁麻疹」と呼ばれています。
あなたも熱さや寒さで体の末端の皮膚の色が変わるという体験をしたことがあるかと思います。こういった寒暖差への抵抗力が弱いと、蕁麻疹を起こす場合があるわけです。
日光については、日光を浴びた皮膚に起こる蕁麻疹で、比較的珍しいケースですね。
紫外線を浴びると起こる「紫外線アレルギー」とは別物と考えられており、日焼け止めなどの紫外線対策用品も効果がない、厄介なタイプの蕁麻疹です。
なお、こういった皮膚が直接刺激されることで引き起こされる蕁麻疹のことを、「物理性蕁麻疹」と呼ぶこともあります。
自分自身の汗による蕁麻疹
イメージが湧きにくいかもしれませんが、自分自身の汗の刺激が原因となって起こる蕁麻疹で、専門用語で「コリン性蕁麻疹」といいます。
運動をした時やお風呂に入った時、何かしらの理由で緊張した時の汗がきっかけとなることが多く、子供によく見られる蕁麻疹でもありますね。
また、汗が原因となる関係で、人によっては首や腕などの一部位だけでなく、顔や背中などの全身に症状が広まってしまうこともあります。
ストレスや疲労による蕁麻疹
環境の変化や仕事のやりすぎ、緊張する出来事などを前に、ストレスや疲労が強まった時に起こる蕁麻疹で、これを「心因性蕁麻疹」といいます。
ストレスや疲れというと一見子供には無縁に思えるかもしれませんが、実は幼児や赤ちゃんでさえ、ちょっとしたことでストレスを感じたり疲れたりしています。
例えば大泣きしている時などは既にストレスを感じている状態ですし、泣き終わった後は疲れて眠ってしまうこともありますよね。
ストレスや疲れの原因は様々ですが、例えば怒られたことによるストレスやいじめによるストレス、風邪で熱が出たことによる疲れなど、原因を挙げればキリがありません。
ストレスによる蕁麻疹については、『ストレス性蕁麻疹の原因と治し方!顔や腕に出た場合は?』の記事でも詳しく紹介していますので、必要に応じてご覧ください。
子供の蕁麻疹の治療法は?
医療機関による蕁麻疹の治療は、第一に「抗ヒスタミン薬」を使った治療が行われます。
これは先ほどもご説明した通り、原因がはっきりしている・していないに関わらず、皮膚の赤みやかゆみの原因がヒスタミンの分泌によるためですね。
原因がはっきりしない場合でも、軽い蕁麻疹程度であれば抗ヒスタミン薬だけで落ち着くことがよくありますから、抗ヒスタミン薬が処方されないことは滅多にありません。
次に原因が判明している場合ですが、原因が分かる場合は何よりもまず原因を遠ざけることが必須になります。
これは例えば、薬によるアレルギーであれば薬を変えてみる、衣服の摩擦が原因であれば摩擦が起こりにくい服を着るといったことですね。
もちろん抗ヒスタミン薬は合わせて使うことがほとんどですが、やはり原因が分かるのであればしっかりと対処することで、蕁麻疹の発症頻度や程度を軽減することができます。
その他、アレルギーであれば抗アレルギー薬が処方されたり、かゆみが強いのであればステロイド剤などが処方されることもあります。
蕁麻疹の治療は医学的な知識がないと判断が難しいので、基本的には病院を受診し、医師と相談しながら治療方針を決めていくのが良いでしょう。
自宅で出来る対処法や注意点は?
処方薬は勝手に飲むのをやめない
蕁麻疹の症状が治まったら、「薬はもう飲まなくてもいいのかな?」と思ってしまいがちですが、基本的に渡された薬は続けて飲むようにしましょう。
仮に症状が治っているとしても、蕁麻疹は繰り返すことがあります。そのため、急性蕁麻疹であれば数週間、慢性蕁麻疹なら最低でも1~2ヶ月程度は続けて飲む場合が多いです。
処方された薬というのは、基本的に医師が必要だと思われる量を想定して出しているものがほとんどですので、勝手にやめることはせず、次回の診察時に相談をして飲み終えるかどうかを決めるようにしてください。
子供が蕁麻疹をかかないように注意する
大人であれば、まだかゆみがあっても自制心で掻きむしるのを抑えることが出来ますが、子供はそうはいきません。
特に赤ちゃんや幼児などの小さい子の場合、無意識で引っ掻いてしまいがちですので、必要に応じて手袋やミトンをつけてあげましょう。
爪も短く切っておくなど、手袋やミトンをとってしまった時の対策もしておくと良いですね。
また、どうしても痒くなる、掻きむしってしまうという場合には、アイスノンや氷水で冷やしたタオルなどで蕁麻疹の出ている所を一時的に冷やすのも効果的です。
ただ、寒冷蕁麻疹の場合は冷えることで蕁麻疹が現れるため、逆効果になるのでやらないようにしてください。
激しい運動やお風呂は避ける
激しい運動をしたりお風呂に浸かると、血行が良くなりますよね。
一見良さそうに思えるかもしれませんが、実は血行が良くなると炎症やかゆみは悪化します。
そのため、蕁麻疹が出ている間や治まってしばらくは、運動をしたりお風呂に浸かるのはやめるようにしましょう。
心臓の鼓動が早くならない程度の日常生活レベルの動きや、ぬるめのシャワーを使う程度に留めておくと良いですね。
また、お風呂で体をこすりすぎるのも蕁麻疹を悪化させる可能性がありますので、手で優しく洗う程度にしておきましょう。
蕁麻疹の原因をできるだけ退ける
原因が分かっている場合には、そもそも原因となる刺激を生活から排除することが大切になります。
例えばアレルギー性蕁麻疹であれば、原因となる食物や虫などが家の中に無い状態を作ることが理想ですし、服がこすれて蕁麻疹が起こるのであれば、肌触りの滑らかな服しか置かないようにするといった具合ですね。
中には原因を完全に取り除くのが難しい蕁麻疹もありますが、医師とも相談しつつ、できるだけ原因を排除した環境にしていきましょう。
ストレスや疲れが溜まらないように注意する
ストレスや疲れは、蕁麻疹を悪化させる要因になると考えられています。
そのため、原因が判明している・判明していないに関わらず、ストレスや疲れが起こりやすい環境は無くしていくことが必要になりますね。
特に子供は親に怒られることでストレスを感じることが多いので、出来るだけ優しく、愛情をみせる接し方を心がけましょう。
病院に行けない場合は市販薬を使う
場合によってはすぐに病院に行けないということもあるかと思います。
そういう時は、まずドラッグストアなどに売っている市販薬の飲み薬や塗り薬で様子を見るのが良いでしょう。軽い症状であれば、市販薬でも落ち着く可能性はあります。
ただ、蕁麻疹の市販薬を使用してもなかなか症状が改善しない場合や明らかにひどい蕁麻疹だった場合は、すぐに病院を受診して医師に相談するようにしてくださいね。
蕁麻疹の薬については、『蕁麻疹に薬が効かない!市販薬でおすすめの飲み薬・塗り薬は?』で詳しく説明していますので、こちらも参考にしてみてください。
蕁麻疹が治らない場合はどうする?
蕁麻疹が治らない場合、詳しく見ていきたい点は次の2つです。
蕁麻疹の原因は何なのかを探る
なかなか治らない慢性蕁麻疹の場合、原因を除去しなければいつまでも繰り返してしまいがちです。
そのため、難しいことではありますが、主治医と協力して原因を出来るだけ特定していくことが大切になります。
- 蕁麻疹が起こったり悪化するきっかけは何か?(食事や運動、お風呂、遊んだ後など)
- 発症する部位は決まっているか?(まぶたや目の周り、顔、首、腕、足、お腹、背中など)
- 蕁麻疹が起こる時間帯は決まっているか?(昼だけ、夜だけ、夜になると悪化するなど)
例えばこういった情報を医師と出来るだけ詳しく共有することで、今まで気づかなかった原因に思い当たる可能性もあります。
また、場合によっては別の医師や病院を受診してみるのも悪くないでしょう。
例えばアレルギー科を受診することでアレルギーの可能性を詳しく調べられますし、蕁麻疹に詳しい医師に相談することでも、活路が見いだせるかもしれません。
蕁麻疹以外の病気の可能性を考える
赤い発疹やかゆみの症状というのは蕁麻疹の特徴ではあるものの、実は他にも似たような症状が現れる病気はいくつもあります。
特に病院をまだ受診していない場合、一見蕁麻疹のような症状であったとしても、他の病気の可能性も考えて医師に相談をした方が良いかと思います。
子供だと、例えば以下のような病気は蕁麻疹とよく間違えられます。
- オムツかぶれ(お尻周りに出現)
- あせも(顔や首、背中、お尻など汗をかきやすい場所)
- 乳児湿疹(顔や額、首など主に顔周り)
- アトピー性皮膚炎(顔周りや首周り、肘・膝の内側などに左右対称に出やすい)
- 接触性皮膚炎(原因が接触した限られた部位に出現)
- 皮膚カンジダ症(お尻周りに出現)
それぞれ原因が異なり、蕁麻疹の治療をしていたら治らないものもありますので、気になる方はこういった判断に詳しい小児科の医師に一度診てもらいましょう。
まとめ
蕁麻疹は考えられる原因が非常に多いために何が問題か分かりにくい上、原因によってはなかなか完治しない大変な病気です。
もし慢性蕁麻疹になった場合には、病院や主治医と協力して根気よく治療をしていく必要がありますね。
ただ、多くの子供の蕁麻疹は仮に原因不明だとしても、治療を続けることで年月とともに落ち着いていく例が多いです。
子供の蕁麻疹は親にとっても辛いものですが、前向きに治療をしていきましょう。