あなたは、蕁麻疹(じんましん)がストレスでも起こるという話を聞いたことがありませんか?
実は蕁麻疹は、実に全体の70~80%が未だに原因不明と診断されており、この原因を特定できない蕁麻疹のことを「特発性蕁麻疹(とくはつせいじんましん)」といいます。
そして、その原因不明と診断されやすい蕁麻疹の1つに、「ストレス性蕁麻疹」があります。
今回は、そんなストレスによる蕁麻疹の原因や症状、治し方についてお伝えしたいと思います。
顔や腕など目立つ場所に赤みや腫れが出た場合はどうなのか?どのように治療すれば良いのか?といった疑問も合わせて解決しましょう。
ストレスによる蕁麻疹は本当にあるの?
結論から言うと、ストレスによって起こる蕁麻疹は存在します。
医療的には「心因性蕁麻疹」と呼ばれるもので、ひとことで言えば何らかのストレスを感じると蕁麻疹が現れる状態ですね。
また、元々あった蕁麻疹が、ストレスによって悪化するというケースも多いです。
人の身体と心というのは、普通の人が思うよりも密接に関係しており、身体が不調になれば心も落ち込みがちですし、逆に心が不安定になれば身体に形となって出てきます。
実際、極度の疲れで心の余裕を失ってしまったり、仕事で大きな失敗をして体調を崩したりといったことは、あなたも経験があるのではないでしょうか?
女性であれば、ストレスから肌がガサガサになってしまったり、吹き出物が増えてしまったという経験がある方も多いでしょう。
この心因性蕁麻疹も、そういったストレスによるお肌のトラブルの一種であると考えられています。
ストレス性蕁麻疹が起こる原因は?
原因はもちろんストレスなのですが、これは必ずしも自分がストレスを感じている状態とは限りません。
例えば、ストレスを感じている自覚はなかったとしても、体の疲れが抜けない、夜なかなか眠れない、食欲がいまいち湧かない、どうにもやる気が起こらない、なんとなくイライラしてしまうといった状態は、無自覚にストレスを受けている可能性が高いです。
そのため、自分がストレスを感じているかどうかと言うよりも、他の人から見て自分はストレスが溜まっているように見えるかどうか?無理をして明るく振舞っていないか?といった部分に注意してみましょう。
特に人間関係がうまくいっていない、近々行う何かに対して緊張感がある、環境が変わってなかなか慣れないといったエピソードを持っている方の場合は、ストレスに無自覚でも注意が必要です。
また、ストレス性蕁麻疹はストレスと大きく関連していることは分かっているものの、なぜ発症するのかという部分にはまだ謎が多いです。
ただ、主に自分の汗が原因となって蕁麻疹を引き起こす「コリン性蕁麻疹」は、ストレスがかかっている状態だと発症しやすいと考えられており、ストレスによってコリン性蕁麻疹を誘発している可能性も考えられています。
ストレス性蕁麻疹の症状や特徴は?
ストレスによる蕁麻疹の症状は一般的な蕁麻疹と特に変わりないタイプのもので、皮膚に赤いふくらみとかゆみを伴います。
赤いふくらみの大きさはさまざまで、いわゆる蚊に刺されたような数mm程度のものから、大きいものだと10cmを超えるようなものもあります。
身体のどこにでも現れる可能性があり、例えば顔や首、腕、脚、背中、お腹など、皮膚であればどんな場所でも発症します。
そのため、部位によってストレスが原因の蕁麻疹かどうかを特定するのは難しいと言えますね。
ただ、ストレスが原因となる蕁麻疹の特徴として、環境の変化で症状が現れやすいというものがあります。
例えば仕事の環境が以前とガラリと変わった、家庭環境がうまくいかなくなった、突然の引っ越しや転勤などですね。
これはどれも知らず知らずのうちにストレスを感じやすい要素で、こういった周辺環境の変化をきっかけに蕁麻疹が発症した場合には注意が必要です。
また、必ずしもストレスが最も強いタイミングで症状が出るわけではなく、むしろリラックスしている時の方が発症しやすいと言われています。
これは先ほどもお伝えしたように、ストレス性蕁麻疹は「コリン性蕁麻疹」との関連があるためと考えられます。
コリン性蕁麻疹には、アセチルコリンと呼ばれる体内物質が発症に関与しているのですが、このアセチルコリンはリラックスしている状態でより多く分泌されます。
そのため、同じストレスがある状態の中でも、リラックスして一息つけるようなタイミングのほうが発症しやすいというわけですね。
ストレス性蕁麻疹の治し方や対処法は?
一般的に蕁麻疹の治療には、抗ヒスタミン薬やアレルギー薬が用いられるのですが、ストレスによって引き起こされる蕁麻疹の場合、これらが効きにくいというケースが多いです。
そのため、病院や担当している医師にもよりますが、ストレスを緩和することを第一に考えて治療が行われる場合が多いでしょう。
具体的には、ストレスとなっている要因から距離を置いたり、抗不安薬などの薬物療法、精神療法によりストレス耐性をつけるといった対処が行われます。
自分でできる対処法としては、まず第一に「搔きむしらない」ということです。
とはいえ、どうしても掻きたくなってしまうことはあるかと思いますので、そういった場合には軽くその部位を冷やしてあげると良いでしょう。
ただし、冷やしすぎは血管を拡張することにつながり、結果として炎症が悪化する場合もありますので、あくまでほどほどが大切です。
我慢しきれないようなかゆみや腫れがある場合は、病院で処方されるステロイド薬なども選択肢として覚えておきましょう。
これは身体のどの部位に出ても基本的に同様の対処法になりますが、特に顔や腕、首は目立ちますので、掻いてしまいそうであれば早めに相談しておくのが良いですね。
また、血管を広げてしまうような運動や食事にも注意が必要です。
例えば、ランニングや全身を動かすスポーツなどの激しい運動もそうですし、スパイスを多量に含んだ食べ物や多量のアルコール摂取もかゆみを悪化させやすいです。
他にも、睡眠不足や慢性的な疲労といった生活習慣の乱れは、体のストレスとなって蕁麻疹を悪化させる可能性があります。
そのため、過度の運動や食生活に注意をしつつ、規則正しい生活習慣を意識して、しっかりと心と身体を休めることも必要になるでしょう。
ストレス性蕁麻疹は完治する?
蕁麻疹はその症状が続く期間の長さによって「急性蕁麻疹」と「慢性蕁麻疹」に区分されます。
急性蕁麻疹は発症から1ヶ月以内におさまるもので、それ以上続くものを慢性蕁麻疹といいます。
蕁麻疹は大体のケースが急性蕁麻疹で、つまり1ヶ月以内に完治しますが、慢性蕁麻疹の場合は長引くことが多いですね。
慢性の場合は原因もはっきりしないケースが多く、一般的に完治には数年かかると考えておいた方が良いでしょう。
ただ、ストレスなどの心因性による蕁麻疹の場合は、原因となるストレスを取り除いたり、時が経つことで徐々におさまってくる場合が多いです。
そのため、ストレスが悪化しないように早い段階で病院を受診したり、ストレスを遠ざける工夫をしていくことが大切ですね。
まとめ
ストレス性蕁麻疹は、自分がストレスを感じていると気づかなくても発症することがあり、原因がはっきりと判断出来ないケースも多いです。
そのため、蕁麻疹がストレスによるものかを判別するには、自分が知らず知らずのうちにストレスを溜め込んでいないか?蕁麻疹以外にもストレスが溜まっているような体の不調が出ていないか?といった点に注意する必要があります。
ストレスが原因だとはっきりすれば、治し方も色々と考えられますので、まずは原因をしっかりと特定することを意識して、病院で相談してみると良いでしょう。
また、大人の蕁麻疹についてもっと詳しく知りたい場合は、以下の記事も参考にしてみてください。