「目が充血して目やにが出る」
「目にかゆみや痛みがある」
多くの方がこのような症状を経験したことがあると思いますが、もしかするとその症状、結膜炎という病気が原因かもしれません。
結膜炎は軽い症状であれば放置してしまいがちな病気ですが、実は重症化した場合、視力低下などの後遺症が残る場合もある怖い病気なんです!
そこで今回は、結膜炎の種類やそれぞれの原因、症状、治し方などについて解説したいと思います。
ストレスや疲れ、コンタクトレンズなどが原因で発症することもあるのか?ということについても説明していますので、気になる方はチェックしてみてくださいね。
結膜炎とは?
結膜炎というのは、その名の通り、何かしらの原因で目の結膜に炎症が起こる病気です。
結膜というのは、白目やまぶたの裏側を覆っている粘膜のことです。目の中を薄皮が覆っているようなイメージですね。
この結膜は知っての通り、触られるのも痛いほどのデリケートな組織で、体の外側に露出しているにも関わらず刺激に弱い部位です。
しかも結膜は、いつも涙で潤っている場所でもあるので菌やウイルスが繁殖しやすく、アレルギーや感染症を引き起こしやすい場所なんですね。
結膜炎が起こると、初期症状として目の充血や目やに、目のかゆみなどの症状が現れますが、結膜炎の種類によって症状の程度やその他の症状が変わってきます。
結膜炎の種類
結膜炎には、大きく分けて主に以下の3つの種類があります。
- アレルギー性結膜炎
- ウイルス性結膜炎
- 細菌性結膜炎
このように原因によって3つに分かれており、それぞれ感染経路や引き起こす症状が異なります。
ここからは、この3種類の結膜炎それぞれについて見ていきましょう。
アレルギー性結膜炎
その名の通り、アレルギーが原因となって引き起こされる結膜炎です。身近な症状で言えば、花粉などによって起こる目のかゆみがアレルギー性結膜炎ですね。
日本では一番かかっている人の多い結膜炎で、実に5~7人に1人がアレルギー性結膜炎だと考えられています。
アレルギー性結膜炎の原因
アレルギー性結膜炎は、アレルギーを引き起こす物質(アレルゲン)が原因となって起こります。原因となる主なアレルギー物質は、花粉やハウスダスト、ペットの毛などですね。
誰でも起こるわけではなく、これらの物質にアレルギーを起こした場合に症状が現れます。
アレルギー性結膜炎の症状
目やまぶたに強いかゆみがあるのが特徴で、目の充血や白っぽい目やになどが出ることもあります。
アレルギー性結膜炎の治し方
自然治癒することがほとんどないため、基本的にはアレルギー症状を抑えるための治療が中心となります。
治療によく使われるのは抗アレルギー点眼薬で、炎症がひどくてかゆみが強い場合には一時的にステロイド点眼薬を使う場合もありますね。
また、アレルギーの原因が分かっている場合には、原因となる物質を遠ざけるようにしましょう。
例えば花粉が原因であれば、花粉が目に入らないよう眼鏡をかけたり、家に花粉を持ち込まないような対処法が効果的です。
アレルギー性結膜炎の症状や治療法、予防対策などについては、以下の記事で詳しく書いていますので参考にしてください。
→『アレルギー性結膜炎はうつる?充血が治らない場合コンタクトは大丈夫?』
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎も名前の通り、ウイルスが原因で起こる結膜炎です。原因となるウイルスには、「アデノウイルス」「エンテロウイルス」などがありますね。
どのウイルスが原因の場合も強い感染力が特徴で、感染経路には十分に注意する必要があります。
以下では、特に有名な3つのウイルス性結膜炎についてご紹介します。
プール熱(咽頭結膜熱)
ウイルス性結膜炎の中でも代表的なものの1つで、プールで感染が広まることからプール熱と呼ばれています。
原因は主にアデノウイルス3型というウイルスで、感染すると5~7日ほどの潜伏期間の後、症状が現れるという形になりますね。
プール熱の主な症状は、目の充血や目やになどの目の症状の他に、38~40度ほどの高熱や喉の痛みが出るのが特徴です。
他にも下痢や嘔吐、体がだるいなどの症状が現れることもあり、結膜炎の中でも全身に症状が現れやすい病気と言えますね。
治療はアデノウイルスに対する特効薬が存在しないため、薬で症状を抑えつつ自然に治るのを待つという形になります。
高熱が5日前後続くことが多いので大変ですが、治るまでは水分補給や食事を出来るだけ行い、ゆっくりと休むようにしましょう。
はやり目(流行性角結膜炎)
プール熱と同じく、ウイルス性結膜炎の中ではよく見かける病気です。流行しやすいことからはやり目と呼ばれていますね。
原因は主にアデノウイルス8型で、感染してから1~2週間という長い潜伏期間の後に症状が現れます。
はやり目の症状は、ひどい目の充血と大量の目やに・涙が特徴です。まぶたの腫れや目にゴロゴロとした違和感が出ることも少なくありません。
症状が悪化すると角膜に炎症が起こることもあり、角膜の濁りが出て視力低下などの後遺症が残ることもあります。
治療には主に菌の繁殖を防ぐ抗菌目薬や、炎症を抑える目薬を使うのが一般的ですが、症状がひどい場合にはステロイドの目薬を使うこともありますね。
治療期間は1~2週間ほどかかることが多く、症状がひどい場合には2~4週間、角膜炎を起こした場合には数ヶ月以上かかると考えておきましょう。
はやり目の症状や治療方法、うつさないための予防法などについては、以下の記事で詳しく説明していますので合わせて読んでみてくださいね。
→『はやり目(流行性角結膜炎)の症状とは?子供の保育園は出席停止?』
急性出血性結膜炎(アポロ病)
わずか1~2日ほどの潜伏期間で急に発症し、白目が出血で真っ赤になることから急性出血性結膜炎と呼ばれています。
原因となるウイルスは、「エンテロウイルス70型」と「コクサッキーウイルスA24変異型」の2種類です。コクサッキーウイルスの方が少し潜伏期間が長く、2~3日後に発症する傾向にあります。
症状は白目の出血が最も特徴的で、強い充血と目やに、目の痛みなどが現れます。出血で慌てる方も多いですが、自然に吸収されるため特に心配する必要はありません。
また、まぶたの腫れが出たり、まぶたの裏に白いブツブツが現れることもありますね。
治し方としては、急性出血性結膜炎にも特効薬のようなものはなく、症状を抑える対症療法が中心となります。抗菌目薬や炎症を抑える目薬を使うのが一般的ですね。
治療期間は7~10日前後になることが多いので、その間はしっかりと休んで症状が悪化しないように心掛けましょう。
細菌性結膜炎
細菌性結膜炎は、細菌が目に感染することによって起こる結膜炎です。抵抗力の弱い赤ちゃんや子供、高齢の人に多い結膜炎ですね。
感染力はウイルス性結膜炎に比べるとさほど強くなく、うつることはあまりありません。
細菌性結膜炎の原因
原因菌となる細菌は無数に存在しますが、主に黄色ブドウ球菌やインフルエンザ菌など、体に常に存在する菌が感染することによって発症します。
体に常にくっついている細菌による感染なので、免疫力が低下した時に起こりやすい結膜炎と言えますね。
細菌性結膜炎の症状
ネバネバとした膿のような黄緑色の目やにが特徴で、合わせて目の充血も現れます。
症状は片目だけに出ることが多いですが、もう片方にうつって両目になることもありますね。
細菌性結膜炎の治し方
細菌性結膜炎にはウイルス性結膜炎と違い、抗生物質という特効薬があります。そのため、治療方法としては抗生物質と抗菌目薬を合わせて処方されることが多いですね。
薬さえ使っておけば数日から1週間ほどで完治することがほとんどなので、結膜炎の中では比較的治療に日数のかからない病気です。
結膜炎にはストレスやコンタクトレンズも影響する?
結論からいうと、ストレスやコンタクトレンズは結膜炎の間接的な原因になることがあります。
ストレス
疲労などによるストレスは、直接結膜炎を引き起こすことはないものの、体の免疫力を弱めてしまいます。
疲れが出ている時に風邪にかかりやすいのと同じで、ストレスがあると結膜炎にもかかりやすくなってしまうというわけですね。
結膜炎の症状がなかなか治らない原因にもなりますので、出来るだけストレスを遠ざける、休息をとる、栄養のある食べ物を食べるなどの対策で免疫力を高めていきましょう。
コンタクトレンズ
コンタクトレンズの場合、汚れが原因で結膜炎を引き起こすことがあります。
ハードコンタクトレンズであれば汚れを磨いて落とすことも出来るのですが、ソフトコンタクトレンズの場合はどうしても汚れが付着したまま残ってしまいますよね。
その汚れに花粉や細菌が付着してしまうと、こういった物質が原因となってアレルギー性結膜炎を引き起こしてしまいます。
また、コンタクトレンズの汚れが原因で起こる「巨大乳頭結膜炎(きょだいにゅうとうけつまくえん)」という結膜炎もあります。
巨大乳頭結膜炎はコンタクトレンズに特有の結膜炎で、まぶたの裏側にブツブツが現れ、コンタクトがずれるなどの自覚症状が出てくるのが特徴です。
どちらもコンタクトレンズの汚れが原因となっていますので、コンタクトレンズを清潔に保つ、コンタクトをしたまま眠らないなどの対策を行うようにしましょう。
まとめ
結膜炎は一見軽い症状でも、放置してしまうと症状が悪化してしまう可能性もある危険な病気です。
特にウイルス性結膜炎は症状が強く、他の人にもうつりやすいため、すぐに眼科の病院を受診して検査を受けるようにしましょう。
中には市販薬を使って自力で治そうとしている人もいるかと思いますが、あまりおすすめは出来ません。
いつまでも治らない状態が続くと症状が悪化する危険性もありますので、出来るだけ早く治すためにも病院の治療薬を使うようにしましょう。