アレルギー性結膜炎で悩む女性

 

「最近両目が充血していて妙にかゆい」
「白い目やにや涙がひどくて目が開けられない」

 

もしあなたにこんな症状があるのであれば、それはアレルギー性結膜炎の可能性があります。

「アレルギー性結膜炎なんて大げさな…」と思われるかもしれませんが、実は日本人の15~20%、つまり5~7人に1人はアレルギー性結膜炎だと言われているんです。

 

そこで今回は、アレルギー性結膜炎の原因や症状、治療などについて詳しくまとめてみました。

結膜炎といえば多くの方が気にしているであろう、「他の人にうつるのか?」「コンタクトレンズはつけて大丈夫なのか?」といった疑問についても合わせて見ていきましょう。


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アレルギー性結膜炎はうつる?

結膜炎と言えば他の人にうつるというイメージを持っている方も多いのではないかと思いますが、アレルギー性結膜炎は他の人にうつることはありません。

アレルギーとは特定の物質に対して過剰に免疫が働いてしまう状態なので、ウイルスや細菌のように外側の原因ではなく、自分の内側に原因がある病気になります。

分かりやすく言ってしまえば、食物アレルギーや花粉症などが他人にうつらないのと同じ理由ですね。

 

また、他人にうつすことがないので、症状がひどくなければ仕事や学校に行くのも特に問題はありません。眼帯なども付けなくて大丈夫です。

ひどい目やにやまぶたの腫れがなければプールにも入って問題ありませんが、目が弱っている状態なのでゴーグルは着用した方が良いでしょう。

 

ただ、アレルギー性結膜炎自体は他の人にうつらないものの、症状がよく似たうつる病気はありますので注意が必要です。

例えば、ウイルス性の結膜炎である「プール熱(咽頭結膜熱)」や「はやり目(流行性角結膜炎)」などは、同じ目の病気で症状も似ていますが感染します。

 

素人目でこういった病気を判断することは難しいので、眼科を受診して診断をしてもらうのが確実ですね。


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充血が治らない場合コンタクトレンズはつけて大丈夫?

コンタクトレンズをつける女性

 

結論から言うと、アレルギー性結膜炎の充血やかゆみなどが治らないうちからコンタクトレンズをつけるのは極力避けましょう。

コンタクトレンズが目やになどで汚れやすいですし、汚れたコンタクトレンズをつけることで結膜炎の症状が悪化する可能性があります。

 

特に、コンタクトレンズをつけていると視界が曇ってくる場合には、既にかなりの量の汚れが付着していますので外しておいた方が良いでしょう。

汚れはハードコンタクトレンズであれば磨くことで綺麗に出来るものの、破れやすいソフトコンタクトレンズの場合は一度汚れると綺麗にするのは難しいので注意が必要です。

 

アレルギー性結膜炎が落ち着くまでは、代わりに眼鏡を使うのが無難ですね。

もし、「どうしてもコンタクトをしたい!」という場合には、1日ごとに使い捨てのソフトコンタクトレンズを使うのが良いでしょう。

使い捨てなので汚れても安心ですし、汚れがたまることで症状が悪化するリスクも抑えることが出来ますよ。

 

また、もしもコンタクトレンズが付けている時にずれる場合は、「巨大乳頭結膜炎(きょだいにゅうとうけつまくえん)」という病気にかかっている可能性もあります。

巨大乳頭結膜炎はコンタクトレンズの汚れによって起こるアレルギー性結膜炎の一種なので、コンタクトがずれる場合には使うのを止めて、すぐに病院を受診するようにしましょう。

 

アレルギー性結膜炎の原因は?

原因のハウスダストを掃除

 

アレルギー性結膜炎は、その名の通りアレルギーが原因となって起こる目の炎症です。

私たちの体には、外から体内にやってくるウイルスなどを排除する「免疫機能」があることはあなたもご存じですよね。

 

免疫機能は外敵から身を守るためのもので、害のないものには反応しないのが普通です。しかし、時々害のないものに対しても免疫が過剰に反応してしまうことがあります。

これがいわゆるアレルギー反応と呼ばれるもので、アレルギー性結膜炎は分かりやすく言ってしまえば、花粉症で起こる目の症状と同じ状態ですね。

 

アレルギー性結膜炎の原因となる物質(アレルゲン)には、主に以下の4つがあります。

  • 花粉(スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサなど)
  • ハウスダスト(ダニ、ホコリ、カビなど)
  • ペットの毛
  • コンタクトレンズに入り込んだ汚れ

 

アレルギーの原因は、病院でアレルギー検査を行うと分かる可能性が高いですので、思い当たる節がない場合は病院で検査を受けてみるようにしましょう。


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アレルギー性結膜炎の症状は?

アレルギー性結膜炎の症状で代表的なものは、主に以下の6つです。

  1. 目やまぶたの強いかゆみ
  2. 目の中の異物感(目の中のゴロゴロとした痛み)
  3. 目の充血
  4. まぶたの腫れ
  5. サラサラした白い目やに
  6. 涙が出る

 

目やまぶたの強いかゆみが特徴的な初期症状で、目の中にゴロゴロとした異物感を感じることも多いですね。目をこすっていた場合、目の痛みを感じることもあります。

そのまま症状が進むと目の充血やまぶたの腫れが現れ、さらに悪化すると白っぽい目やにや涙が出てきます。

 

大抵は両目に発症しますが、アレルゲンが片目だけに付着した場合には片目だけに症状が出ることもありますね。

同じ理由で、目の症状に左右差が現れるということもあります。

 

また、アレルギー性結膜炎というのはアレルゲンが目に付着した時に起こる症状なので、他の部位にアレルゲンが付着した場合には別の症状が起こる可能性もあります。

例えば花粉がアレルギーの原因であれば、結膜炎以外にも咳やくしゃみ、鼻水などの花粉症のような症状が現れる可能性がありますので注意しておきましょう。

 

その他、重症のアレルギー性結膜炎として、子供に多くみられる「春季カタル」、コンタクトレンズの汚れで起こる「巨大乳頭結膜炎(きょだいにゅうとうけつまくえん)」などがあります。

春季カタルや巨大乳頭結膜炎の場合、上まぶたの裏側にブツブツ、あるいはボコボコとした腫れが出ることが多いので、もし見つけたらすぐに眼科を受診するようにしましょう。

 

なお、症状が現れる時期や期間は、原因となるアレルゲンによって差があります。

花粉などが原因の場合は花粉が飛ぶ季節にだけ症状が現れますし、ハウスダストなどが原因であれば1年中症状が現れるといった感じですね。

 

ちなみに、特定の季節にだけ起こるアレルギー性結膜炎を「季節性アレルギー性結膜炎」、1年中起こるものを「通年性アレルギー性結膜炎」と呼ぶことがありますので、合わせて覚えておきましょう。

 

アレルギー性結膜炎の治療方法は?

アレルギー性結膜炎の治療に使う目薬

 

アレルギー性結膜炎は、一度発症すると自然治癒することはほとんどありません。

そのため、アレルギー性鼻炎や花粉症と同じように、出来るだけ症状を抑える「対症療法」を中心に行っていくのが一般的です。

 

具体的な治療方法としては、「抗アレルギー点眼薬」という目薬が主に使われています。

これは目で起こっているアレルギー反応を抑えるお薬で、アレルギー性結膜炎のかゆみや充血を抑える効果があります。副作用もほとんどありません。

 

症状がひどいケースではかゆみを抑えきれないこともあり、その場合は炎症を強く抑える「ステロイド点眼薬」が処方されることもありますね。

ただ、ステロイドの目薬は効果が強い分、緑内障(りょくないしょう)などの重い目の副作用を引き起こす場合がありますので、長期的に使用する場合は眼科の医師と相談をするようにしましょう。

 

また、アレルギー症状が他の部位にも現れている場合などには、抗アレルギー剤の飲み薬(内服薬)を処方されることもあります。

どのお薬も目のかゆみや充血、腫れなどを抑えるものになりますので、あくまで症状を軽くすることが目的と考えておきましょう。

 

アレルギー性結膜炎の完治について

先ほど目薬を使った治療は症状を軽くするためのものだとお伝えしましたが、実はアレルギーそのものを治す「減感作療法(げんかんさりょうほう)」という治療法もあります。

 

減感作療法は、アレルギーの原因物質が分かっている時に行える治療法で、一言で言ってしまえばアレルギー物質に体を慣らす治療法ですね。

原因物質を低い濃度から注射していき、徐々に高濃度にすることで体を慣らし、アレルギーが起こらない体に変えていきます。

 

治療期間は半年~数年と根気が必要ですが、およそ80%の人に少なからず効果がみられ、中には完治に近い状態までアレルギー症状が治る人もいます。

もし完治する場合でも、完治までの期間は3年以上は見ておきましょう。

 

市販薬でアレルギー性結膜炎に効く目薬

アレルギー性結膜炎は、軽い症状であれば市販の目薬でも対処が可能です。

市販の目薬は病院のものに比べると色々な種類があり、用途に合ったものを選べる反面、選び方が少し難しいのが特徴的ですね。

 

選ぶ際に見ておきたいポイントとしては、以下の5つです。

  • アレルギーに効果のある目薬か?
  • かゆみや炎症に効果はあるか?
  • コンタクトを付けたまま使えるか?
  • ドライアイに効果があるか?
  • 妊娠中や授乳中、あるいは子供でも使えるか?

 

特に重要なのは上の2つで、抗アレルギー成分と抗炎症成分が含まれているかをよく見ておきましょう。

また、コンタクトをつけたまま使いたい場合やひどいドライアイの場合は、適用のある目薬を使うのも良いですね。

 

その他、妊娠中や授乳中の場合、まだ子供の場合などは、中には使えない目薬もありますので、その点も注意しておきましょう。

ただ、病院に行けば医師が適したものを選んでくれますので、特に理由がなければ眼科を受診した方が良いかと思います。


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自宅で出来る予防対策は?

掃除機

 

アレルギー性結膜炎は、アレルゲンが目に付着することで起こる病気ですので、基本的には接触するアレルゲンの量を減らすことで症状を抑えることが可能です。

 

具体的には、以下の7つの予防法を行っていきましょう。

  • 部屋はこまめに掃除する
  • ホコリがたまりやすいところは拭き掃除をする
  • 空気清浄機を使ったり部屋を換気することで空気中のホコリを減らす
  • 枕や布団を天日干ししてダニやカビが繁殖するのを防ぐ
  • 床が畳の場合は畳を年に2~3回干す
  • 花粉症の場合は外出時に眼鏡や帽子で花粉の付着を抑える
  • 帰宅時に玄関前で衣服や帽子についた花粉を払い落とす

 

あとは、免疫力アップのために健康的な生活を送ることも大切ですね。

十分な睡眠時間をとる、バランスのとれた食事を摂る、適度な運動を心掛ける、過剰なストレスを避けるなど、日々の生活にも気を使うようにしましょう。

 

食べ物については、免疫力を整える働きのあるビタミンB6が含まれる食べ物を積極的に食べると良いですね。

また、ビタミンB2が体に不足するとビタミンB6が使えなくなってしまうので、ビタミンB2も合わせて摂るようにしましょう。

手軽にビタミンB6を摂れるおすすめの食べ物はバナナですね。あとはビタミンB2が多い牛乳などを合わせて飲むと良いでしょう。

 

その他、アレルギー性結膜炎の改善には「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」などの漢方薬を使った治し方もあります。

漢方治療を行っている病院で処方してもらうことが出来ますので、あまり薬を使いたくない、体質から改善していきたいという方は試してみると良いでしょう。

 

まとめ

アレルギー性結膜炎は軽い症状だと放置してしまいがちですが、放置したままだと症状が悪化する場合もありますので、早めの対策をしていきましょう。

特に重症例になると、角膜の濁りで視力低下が起こったり、最悪の場合には合併症による失明もあり得ますので、一度病院で検査を受けた上で相談するのが良いかと思います。

 

また、女性で悩みがちな「目の周りの化粧をしても良いのか?」という疑問についてですが、マツエク(まつげエクステ)やマスカラなどのアイメイクについてはやめておいた方が無難です。

場合によってはまぶたの腫れや痛みを引き起こすなど、症状が悪化する可能性もありますので、アレルギー性結膜炎が治るまでは控えておいた方が良いでしょう。