頭痛で頭を押さえる子供

 

ヘルパンギーナは、5歳以下の子供に多い夏風邪の1つです。

38~40度近い高熱、口腔内の口内炎や水疱、喉の腫れと痛みを特徴とした病気なのですが、中には頭痛や嘔吐の症状があって気になっている方もいるのではないでしょうか?

 

「ただでさえ高熱で辛そうなのに、頭痛や嘔吐まで出るなんて…」と、親としては心配になりますよね。

しかも頭痛や嘔吐がひどいと、場合によっては髄膜炎などの重い症状を引き起こしている可能性もあるんです。

 

そこで今回は、ヘルパンギーナの症状で頭痛や嘔吐が出ることはあるのか?頭痛や嘔吐の対処法はどうすれば良いのか?といったことについてまとめてみました。


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ヘルパンギーナの症状で頭痛や嘔吐が出ることはある?

頭痛でうなだれる幼児

 

結論から言うと、ヘルパンギーナの症状にともなって頭痛や吐き気・嘔吐が出ることはあり得ます。

ヘルパンギーナは上にも書いた通り、高熱と口内炎や口の中の白い水疱、喉の症状が主な症状なのですが、実際には他の症状が現れることもあります。

 

例えば、高熱による体のだるさや不機嫌、喉の痛みによる食欲不振などはヘルパンギーナではよく見られる症状です。

こういった関連して起こる症状として、頭痛や吐き気・嘔吐が単体で現れるということは少なくありません。

 

特に高熱が出た時に合わせて起こる頭痛については、経験したことがある方も多いのではないでしょうか。

赤ちゃんであれば高熱に対してストレスを感じて吐いてしまうということもありますので、多少の嘔吐についても起こる可能性は十分にあります。

 

ただ、頭痛や嘔吐の症状が同時に起こっている場合や、どちらかの症状がひどい場合には注意が必要です。

例えばですが、嘔吐の症状がひどい場合には「胃腸炎」を合併している可能性があります。同時に下痢などもあれば、その可能性はより高いと言えるでしょう。

 

また、頭痛のみの場合は高熱による頭痛の可能性が高いのですが、嘔吐と同時に頭痛が出ている場合には、次で説明する「無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)」を起こしている可能性もあります。


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高熱と頭痛、嘔吐が同時に出た時は髄膜炎の可能性も

熱でぐったりとしている子供

 

髄膜炎というのは、脳や脊髄といった重要な神経器官を保護する髄膜という膜に炎症が起こる病気です。

中でもウイルスが原因で起こる髄膜炎を「無菌性髄膜炎(むきんせいずいまくえん)」と言うのですが、実はヘルパンギーナに感染した時にまれに起こる合併症の1つとしても知られていますので注意をしておきましょう。

 

ヘルパンギーナを発症している子供に髄膜炎が起こった場合の特徴的な症状としては、以下の通りです。

  • 高熱に加えて頭痛、嘔吐の症状も出ている
  • 意識が薄くなったりけいれんを起こす
  • 項部硬直が起こる(仰向けで首を持ち上げると顎が胸につかず首がつっぱる)

 

赤ちゃんの場合は言葉が喋れないので、不機嫌になったり泣いたりという形で頭痛や気分の悪さを表現することもあります。

項部硬直(こうぶこうちょく)は専門家でないと判断が難しいですし、そもそも起こらないことも多いので、基本的には症状で確認すると良いですね。

 

もし髄膜炎のような症状が現れた場合には、どうしようかと考える前に、すぐにかかりつけの小児科の病院を受診するようにしてください。

明らかに意識が薄くなっている、けいれんを起こしているといった場合には、病院に行くより救急車を呼ぶようにしましょう。

 

ヘルパンギーナの頭痛と嘔吐の対処法

自宅医療

 

ヘルパンギーナの症状に関連して現れる頭痛や嘔吐の場合は、無理に再診せず自宅での対処も十分に可能です。

上で書いたような胃腸炎や髄膜炎のような症状ではなく、意識障害やけいれんなどもないのであれば、以下のような対処法をとって様子を見るようにしましょう。

 

頭痛の対処法

ヘルパンギーナで起こる頭痛は、ほとんどの場合高熱によって引き起こされる頭痛なので、熱が下がることで痛みが治まることが多いです。

そのため、基本的にはヘルパンギーナの回復に合わせて痛みが落ち着いてくると考えて問題ありません。

 

むやみに熱を下げるのはおすすめしませんが、高熱でぐったりとしている場合にはアイスノンや冷えピタなどで熱冷ましをしてあげるのも良いでしょう。

熱がひどい場合には、病院でも使われる3点クーリングが便利です。首の裏と脇の下、太ももの付け根の3点を冷やすことで、効率的に熱を冷ますことが出来ますよ。

 

また、鎮痛剤を使って頭痛を抑えることも可能ですが、あまり薬を使いすぎると症状が抑えられて危険な病気のサインを見逃してしまうことがありますので、頭痛がひどい場合のみ痛み止めを使うようにしましょう。

アセトアミノフェンやイブプロフェンといった成分の含まれた市販薬であれば、子供でも比較的安全に使うことが出来ますよ。

 

嘔吐の対処法

嘔吐は一度であればそのまま経過を診てもらえれば大丈夫ですが、繰り返し嘔吐をするような場合には注意が必要です。

 

特に気を付けたいのは、嘔吐を繰り返すことで水分を失って起こる脱水症状ですね。特に赤ちゃんは脱水症状になりやすいので、こまめに水分補給を行ってあげると良いでしょう。

一度に水分を与えてしまうと吐き気や嘔吐の原因になりますので、少しずつ様子を見ながら飲ませてあげてくださいね。

 

飲み物としては、ミネラルや糖分を合わせて摂れる「経口補水液(経口補水液)」「子供用のポカリスエット」などがおすすめです。

 

また、食事については吐き気が治まってから食べさせてあげると良いでしょう。まだ下痢が出ているという場合でも、吐き気が落ち着いているのであれば食べさせてあげて大丈夫です。

ただ、食べ物は何でも良いというわけではありません。ヘルパンギーナでは喉の痛みもありますので、お腹に優しく喉の痛みが出にくいおかゆや野菜スープなどを食べさせてあげましょう。

 

あと、嘔吐の処理についてはアルコール消毒では効果が薄いので、「次亜塩素酸ナトリウム(じあえんそさんなとりうむ)」という成分の含まれた消毒液を使って消毒を行うようにしてください。

看病をしている大人にも感染する可能性がありますので、予防対策はしっかりと行うようにしましょう。

 

まとめ

ヘルパンギーナでも頭痛や嘔吐の症状は出ることがありますが、大抵は高熱に関連した症状であったり、胃腸炎を引き起こしているだけですので、そこまで心配をする必要はありません。

今回お伝えしたような対処法をしっかりと行い、回復を待ちましょう。

 

ただ、頭痛と嘔吐に合わせて意識がもうろうとしたり、けいれんが起こった場合には髄膜炎が疑われます。

ヘルパンギーナによって起こる髄膜炎は軽症で済むことも多いですが、重症化すると脳に後遺症が残る場合もありますので、疑わしい症状であれば必ず病院を受診するようにしてくださいね。