手足口病に感染した妊婦

 

「妊婦が手足口病に感染したら、胎児への影響はあるの?」
「妊娠初期や妊娠後期、臨月などで影響に違いはある?」

 

妊婦さんが手足口病に感染した場合、このようにお腹の赤ちゃんのことを心配される方は多いのではないでしょうか?

そこで今回は、医療職の目線で妊娠中の手足口病の影響について分かりやすくまとめてみました。

 

ネット上では妊婦の手足口病に関する間違った情報がたくさんあります。

例えば、ネット上では「妊娠後期に感染すると危険」といった情報が出てくることが多いのですが、実はこれは間違いです。

 

妊娠中に使って良い薬なども誤解のあるケースが多いので、手足口病の治療で使うことが多いお薬の話も含め、僕の考えをお話出来ればと思います。


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手足口病の胎児や妊婦への影響は?

胎児を心配する妊婦

 

妊娠中に手足口病に感染した場合に気になることと言えば、やはり胎児への影響ですよね。

結論から言うと、妊娠中に手足口病に感染しても胎児に影響することはほとんどありません。

 

手足口病は、「風疹」などのように胎児に影響する例がほとんど確認されておらず、基本的には胎児に影響することのない病気です。

ごくまれに赤ちゃんに障害が残る例が出てはいますが、どれも手足口病が直接引き起こしたものとは考えにくいものばかりですので、心配する必要はないでしょう。

 

どちらかと言えば、手足口病そのものよりも高熱が続く場合が問題と言えます。

大人の手足口病は症状がひどくなるケースが多く、場合によっては40度を超える熱が出ることも覚悟しなければいけません。

 

40度を超える高熱が数日以上続くような場合は、羊水の温度が上昇しすぎて赤ちゃんに影響が出ることもありますので注意が必要ですね。

38度前後の熱が1~2日続く程度であればそこまで気にする必要はありませんが、40度を超える高熱が出た場合には必ず病院を受診して治療を受けた方が良いでしょう。


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妊娠初期、中期、後期のリスクの違い

妊婦を診察する医師

 

基本的には妊娠初期、中期、後期のどの時期であっても、胎児に影響が出ないことには変わりありません。

先ほどもお伝えした通り、手足口病が直接赤ちゃんに影響を与えることは考えにくいので、心配しなくても大丈夫です。

 

ただ、既に臨月(出産予定日の1ヶ月以内)に入っている段階で手足口病を発症した場合には、出産の時に赤ちゃんに感染してしまう可能性があります。

手足口病の原因となるウイルスは、発症してから2~4週間ほど体内に残って便から出続ける感染期間の長いウイルスです。

つまり、産道に近い場所でウイルスが出続けることになるため、出産の際に直接手足口病に感染する可能性があるというわけですね。

 

とはいえ、必ず赤ちゃんに感染するわけではありませんし、感染したとしても軽症で済むことがほとんどですから、気にしすぎる必要はありません。

どちらかと言うと、リスクを気にして起こるストレスの方が赤ちゃんに影響を与えてしまいますので、手足口病を早く治して体調を万全にすることに意識を向けるようにしましょう。

 

妊婦の手足口病の初期症状は?

口内炎の口の痛みに口を押さえる妊婦

 

妊婦が手足口病に感染した場合も、大抵は子供と同じような症状が現れます。ただ、大人の場合は子供に比べると症状が重くなりやすいので注意をしておきましょう。

手足口病の初期症状は主に「水疱(水ぶくれ)」です。病気の名前の通り、口の中や手足に発疹や水ぶくれが出ている時には手足口病を疑ってください。

 

水疱は手足であれば、手のひらや足の裏に出来ることが多いですね。

口の中は広い範囲に水疱が出てきて、水疱が割れた後は口内炎のようになります。痛みやかゆみが出ることも少なくありません。

また、大人の場合は初期症状として高熱が出る場合もありますので、合わせて注意しておきましょう。

 

治療期間は7~10日ほどのことが多く、水疱や口内炎がしばらく続くような形になります。発熱は出た場合2~3日程度ですね。


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妊婦の手足口病の治療では使える薬に注意!

錠剤タイプのお薬

 

既にあなたもご存じかもしれませんが、妊娠中は胎児に影響を与えないため、使えるお薬に制限があります。

そのため、まずは妊娠中に自己判断で薬を飲むのは止めておきましょう。市販薬などは特に避けておいた方が無難ですね。

 

中でも特に注意しておきたいのが解熱剤や鎮痛剤です。高熱が出たり口の中の痛みがひどい時にうっかり使ってしまいがちですからね。

「ロキソニン」「アスピリン」などの解熱鎮痛剤は、赤ちゃんに影響の出る可能性があることで知られていますので注意しておきましょう。

 

逆に、胎児に影響の少ないお薬としては「カロナール」がよく挙げられますね。産婦人科でも痛みがひどい場合には処方されることが多い飲み薬です。

ただ、こちらも妊娠中に飲んで100%安全というわけではなく、ごくまれに赤ちゃんに影響が出る例が出ています。

つまり、飲み続けて絶対に安全な薬というのは存在しないというのが現実ですね。

 

とはいえ、通常は1回や2回薬を飲んだからといって急に胎児に影響することはありません。

「病院で薬をもらったけど飲むのが怖い…」と思われる方もいるかと思いますが、熱や痛みがひどい時に胎児に影響の出にくい薬を何回か服用する程度であれば、ほとんど問題ないと言えるでしょう。

 

もちろん、薬なしで済ませられるならそれに越したことはありませんが、我慢のしすぎもストレスになって胎児に良くありません。

特に、高熱は我慢しすぎると胎児に影響が出る可能性がありますので、無理に高熱を我慢するのは避けましょう

 

また、妊娠初期に飲んではいけないお薬、妊娠後期に飲んではいけないお薬といった具合に、時期によって飲んではいけない薬も存在します。

使う薬の判断は、妊婦の専門家である産婦人科医にお願いするのが一番ですので、必ず妊婦の状態を把握してくれているかかりつけの「産婦人科」を受診するようにしてくださいね。

 

まとめ

妊婦が手足口病に感染したとしても、通常であれば胎児への影響を気にする必要はありません。

出産直前になって感染した場合は、出産時に赤ちゃんに感染してしまう可能性もありますが、その場合も大体は軽症で済むので気にしすぎないようにしましょう。

 

ただ、大人の手足口病は症状がひどくなることも多いので、妊婦にリスクのある市販薬をうっかり使ってしまわないように注意が必要です

症状がひどい場合には、胎児に影響の出にくいお薬を使うこともありますので、かかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。

 

また、既に感染している場合には仕方がありませんが、妊婦さんはそもそも手足口病に感染しないことが最も大切になります。

ですので、もしあなた自身が手足口病には感染していないものの、子供が手足口病に感染しているという場合には、以下の記事も合わせて読んでおきましょう。

『手足口病は大人にもうつる?お風呂は潜伏期間中からダメ?』